「静かで控えめ」は賢者の戦略──。そう説くのは、台湾出身、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャン氏だ。同氏による世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(ジル・チャン著、神崎朗子訳)は、聞く力、気配り、謙虚、冷静、観察眼など、内向的な人が持つ特有の能力の秘密を解き明かしている。騒がしい世の中で静かな人がその潜在能力を最大限に発揮する方法とは? ジル・チャン氏に、読者や講演参加者からの質問に答えてもらった。
「伝えるコツ」はありますか?
質問 私は人に伝える力が弱いことが悩みです。ジルさんにおいてもいろいろ苦労されてきたかと思いますが、「伝えるコツ」のようなものがあれば教えていただけると幸いです。
ジル・チャン コミュニケーションや伝え方は、内向型にとってはつねに重要な問題です。
私たち内向型には、相手の心理をいろいろと想像できる「共感力」という強みがあるので、ぜひそれを生かすようにしましょう。
人と話す前に、「相手の視点」を考えるように心がけるんです。
この人は何を気にしているのか、何を言う可能性があるか、よりよく理解してもらうためにはどういう例が役立ちそうか、説得力を持たせるためには何が必要か、相手の「好き嫌い」や「意見の相違」がありそうな領域はどこか……。
このように相手のことを考えることで、自分の思いを伝えるためのよりよい戦略を考えることができます。
私が非常に役立つと感じているテクニックは、
「あなたはどう思いますか? どのような懸念がありますか? それについて一緒に取り組みましょう」
と尋ねることです。
こうしてシンプルに直接聞くことで、相手の視点を知ることができます。そうすれば話は格段に進めやすくなります。
初対面の相手や複雑な状況では、相手の視点や会話のシナリオを想像することはエネルギーを消耗すると思いますが、何度もチャレンジしていくことで上手くなっていきます。