「成長したい」「同じ仕事の繰り返しが嫌」と転職する人に決定的に足りない視点Photo:PIXTA

自分の成長を目指しているのに
かえって成長できない残念パターン

 先日、当社の人材募集に応募してきた20代の方と面接をしたとき、応募理由を尋ねるとこんな答えが返ってきました。

「ずっと今の会社にいたら、自分は成長できません」
「仕事の内容が1年前と同じことの繰り返し。今のままでいいのだろうかと感じています」

 いわゆる「意識が高い」若手の中には、この応募者のように「自分が成長できるかどうか」に重点を置いている人がたくさんいます。過熱する“ブラック企業批判”の影響などで業務の負荷が軽減され過ぎたため、「職場がホワイト過ぎて成長できない」ために辞めたいという現象も生じています。

 自分の成長を目指す姿勢そのものはポジティブで、決して悪いことではありません。しかし、詳しく話を聞いていくと本来あるべき方向性からはズレており、問題がある場合が少なくありません。自分の成長にしか興味がなく、エネルギーが自分にしか向かっていない人が珍しくないのです。

 若手時代を振り返ると私自身、自分のことばかり考えていたので気持ちは分かりますが、エネルギーが自身に向いている時、人はなかなか自分の殻を破れません。そのため自分の成長にしか興味のない人は、かえって成長できないパラドックスに陥ります。しかも、独り善がりの成長意欲は周囲が迷惑します。

 若手だけでなく幅広い年代に当てはまるかもしれませんが、今回は「成長意欲の方向がズレている人」の問題について考えてみましょう。