【訂正】本記事の「『任意継続』は途中退会ができない!?」以降に誤りがありました。令和4年1月1日から、任意継続被保険者の「資格喪失要件」が緩和され、任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を申し出た場合には、その申出が受理された日の属する月の翌月1日に、その資格を喪失することが可能となりました。またその場合に、保険料を前納していても返金されるようになりました。本記事のエピソードはこの改正以前のものであり、読者の皆さまにご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。混乱を招かぬように、本記事は、2週間後の2023年8月14日に削除させていただきますのでご了承ください(書籍オンライン編集部 7月31日15時)。

定年前後の決断で、人生の手取りは2000万円以上変わる!マネージャーナリストでもある税理士の板倉京氏が著し、「わかりやすい」「本当に得をした!」と大人気になった書籍が、2024年の制度改正に合わせ改訂&パワーアップ!「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」として発売されます。本連載では、本書から抜粋して、定年前後に陥りがちな「落とし穴」や知っているだけでトクするポイントを紹介していきます。

要注意! 定年後の健康保険で「任意継続」を選んだ人が陥りがちな悲劇Photo: Adobe Stock

「国民健康保険」は前年度の収入が高い人は不利

 前回、健康保険は家族の扶養に入れればそれが圧倒的にオトクとお伝えしましたが、入れない場合は、①「勤めていた会社の健康保険を任意継続する」か②「国民健康保険に入る」を選択します。

「国民健康保険」は、前年度の収入をもとに計算するので、前年度の収入が多いと保険料が高くなりがちです。

「任意継続」の保険料は、退職時点の給与をもとに計算します。これまでは会社が半分負担してくれていた保険料を全額自分で負担することになりますので、かなりの負担になるように見えます。しかし、負担額に上限が決められているので、前年度の収入が高い人は退職した年は「任意継続」のほうが有利なケースが多いようです。実際にいくらになるのかは、会社に聞けば教えてもらえます。

「家族の扶養に入る」と同様、「任意継続」には、介護給付や人間ドックなどの補助、福利厚生サービスなどがついていることがあるので、保険料だけでなく、それも加味してどちらがおトクかの判断をしましょう。

「任意継続」は途中退会ができない!?

「任意継続」を選ぶと2年間は保険料が固定です。退職1年目の収入が少なければ、2年目は国民健康保険のほうが安くなることもありますし、家族の扶養に入れるようになる場合もあると思います。そんな時は、「任意継続」をやめて「国保」や「扶養」に切り替えたほうがおトクです。

 定年退職後、独立して起業したAさんは、会社の勧めもあって、1年目は「任意継続」を選びました。会社での給与が高かったので、これは正しい選択です。ところが起業1年目は思うように売上が上がらず、150万円の収入しかありませんでした。これなら、妻の扶養に入ったほうがオトクです。

 ところが、注意しないといけないのは「任意継続」をしてしまうと、表向き、途中退会ができないとなっていること。Aさんも「途中退会したい」と申し込んでも「辞めることはできません」と言われ、困っていました。
 でも、あきらめなくて大丈夫! やめたいなら、保険料を払わなければいいのです。

「任意継続」は、保険料を期限までに支払わないとその時点で資格喪失になります。保険料の支払いをやめて「資格喪失」の通知書が送られてきたら、その通知書をもって「国民健康保険」や「扶養」の手続きをすれば大丈夫です。

要注意! 任意継続で前納してしまうと、返金されない

 ちなみに、同様に、定年後、個人事業主として独立したBさんも、1年目に任意継続を選び、一括で保険料を前納していました。ところが、Bさんも1年目の売上があまりなかったので、途中退会して国民健康保険にしようと思いましたが、やはり「途中退会」はNG。しかも、料金はすでに払い込んでいて返金はできないとのことだったので、保険料の支払いをやめ「資格喪失」するという手も使えません。泣く泣く、任意継続を続けることになりました。

 このように前納してしまうと、返金もされず、退会できないので要注意です。
「国民健康保険」の保険料は、計算サイト http://www.kokuho-keisan.com/ で確認できます。

 *本記事は「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」から、抜粋・編集したものです。