もちろん、なんでもかんでも目を背ければいいというわけではありませんし、むしろ、しっかりと現実に目を向けることが大切だということはあらためていうまでもありません。

 でもときには、「まあいい。自分のネガティブな気持ちにふたをしてしまおう。時間が解決してくれるのを待とう」という図太い方法を取ってもいいでしょう。

 そうすれば、時間が経つにつれ、自分を取り戻し、事態を客観的にとらえることができるようになり、多少のことなら容認する力もついてくるものです。

寛容力を身につければ
腹も立たなくなる

 そして広い寛容力を身につけることで、人を見る目も変わってきます。

 たとえば、あなたのまわりにはどうしても好きになれない人もいるでしょう。やたらと仕事に対して厳しい人、あなたの欠点ばかりを指摘してくる人、もうあんな人の顔は見るのもイヤだと思うような人が……。

 でも、そんな人は本当に仕事ができて、弁も立ち、反論すらできないことも少なくありません。だから余計に腹も立つのです。

 ところが、あとになって考えてみると、意外と「あの人からは、いろいろ教えてもらえたな。あの人がいたおかげで、いまの自分がいるんだ」と思えるようになるものです。

 そもそも、人は、どうでもいいやと思っている人には関心を示しません。放っておくものです。気になるからこそ、文句もいうし、期待をしているから、注意もするのです。また、文句をいわれたり、注意をされたりしてイラッとするのは、その人がいうことに一理あるからだし、その人のことを心のどこかでリスペクトしていて、その人に自分を認めてほしいのに、認めてもらえないから気にさわるのです。

 そんな自分の心の動きをしっかりと見つめることも、寛容力を身につけるには必要不可欠なことなのです。