米国でLGBTを広告起用する企業への
右派・保守派からの攻撃が深刻化
日本では6月にLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなど性的少数者の総称)への理解を広げるための「LGBT理解増進法」が成立したが、米国では最近、LGBTの権利を擁護する企業に対する攻撃が激化し、深刻な問題となっている。
6月はLGBTの権利擁護を広く呼びかける「プライド月間」ということで、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコなど全米各地でさまざまな催しが行われたが、これに合わせて企業もLGBTの人々を広告やマーケティングに登場させるなどして商品のプロモーションを大々的に行った。
ところが右派や保守派がこれに猛反発し、ソーシャルメディア上で批判を展開してボイコットを呼びかけたり、従業員への迷惑行為や脅迫などをエスカレートさせたりした。
企業がこのような攻撃に直面したとき、どう対応するかは企業イメージや売り上げ、業績などにも大きく影響してくる。
実際に攻撃を受けたビールメーカー大手の「アンハイザー・ブッシュ」、小売業大手の「ターゲット」、スポーツ用品メーカーの「ナイキ」などがどう対応したかを検証しながら、企業がLGBT問題に取り組むことの意味や利点、それが米国社会のジェンダー平等に向けた戦いに与える影響などについて考えてみたい。