金融庁は長期投資に向かないとして、毎月分配型の投資信託を新しい少額投資非課税制度(NISA)の対象外とした。だが、運用会社側には奥の手があった。新NISA向けとして「隔月分配型」の商品を40本提示。デメリットは毎月分配型と基本的に変わらないが、同じ投信で奇数月と偶数月にそれぞれ分配するタイプまで登場。ルールの虚を突く動きに金融庁はなんと回答するのか。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
新NISAに向けて一休さんの「とんち」?
金融庁は制度変更で除外をもくろんだが…
「このはしわたるべからず」――。橋の手前の立て看板にこう書かれたのを目にした一休さんは、「それなら真ん中を渡ればいい」と言って、橋の真ん中を渡っていた。
令和の金融業界においても、そんな「とんち」の効いた動きがあった。
国内で約6000本が存在する投資信託の中で、いわゆる「毎月分配型」は高齢者を中心に人気を集めてきた。だがこうしたタイプの投信は、時に運用収益を超え、純資産を取り崩して投資家に分配金を支払う、いわゆる「タコ足配当」を行うため、長期投資には向かないと指摘されてきた。
ところが7月10日までに発表された、運用会社側が新しい少額投資非課税制度(NISA)の「成長投資枠」向けの商品として提示した1260本の投資信託のうち、2カ月に一度、分配金を支払う「隔月分配型」が40本含まれていたのだ。まさに「ルールの抜け穴を狙った感じがする」(証券業界関係者)。
さらに楽天証券ホールディングス(HD)傘下の楽天投信投資顧問は、同じ投信で奇数月と偶数月にそれぞれ分配するものを1本ずつ提示。投資家が両方を買えば、実質的に毎月分配型の投信を買うのと同じ状態となる。改めて「タコ足」投信の問題点をおさらいし、金融庁の見解を明らかにする。