自分が若いサラリーマンだったら
お金の扱い方をどう考えるか?

 例えば、若いサラリーマンにはお金の扱い方についてどのようにアドバイスしたらいいか。いや、もっと直裁に、自分が今若いのであればどうしたいと思うか。例えば、仮に自分が、かつてのようにサラリーマンとして就職したとしよう。以下のように考えそうだ。

(1)就職後2、3年は少々のお金の蓄えよりも、自分が仕事のスキルを得ること、自分の人材価値を高めることに、自分の時間とお金とを使うだろう。この段階では借金をせずに暮らすことができれば上々だ。

(2)25歳くらいから、例えば収入の1、2割を貯めて、経済的な備えを作るだろう。ある程度の備えがあれば、医療保険なども含めて、ほとんどの生命保険が不要になる。この効果は大きい。

(3)新しいNISA(少額投資非課税制度)とiDeCo(個人型確定拠出年金)の初期設定と投資のスタートは遅くとも25歳までに済ませたい。スタート時は両方とも毎月5000円ずつでもいい。始めることが肝心だ。

(4)当初はNISAから先に投資額を増やすことを考える。税制メリットの比較ではiDeCoが有利だが、iDeCoの資産は原則として60歳まで引き出せない。生活費の1年分くらいの資産ができるまではNISA優先でいいだろう。その後は、iDeCoを増額して中心としたい。運用はいずれにあっても「全世界株式のインデックスファンド」とする。

(5)20代、30代にあって「自分の人的資本への投資」になるような使途と、「この時期にしかできない経験」に対する支出は、NISAを解約してでも行う。幸い、2024年からスタートする新しいNISAでは、解約して空いた税制優遇枠を再利用できる。

(6)20代後半以降、将来も役に立つような「良い経験」のためにはお金を惜しまない。

(7)遅くとも35歳くらいまでにファーストキャリアで大いに稼げる転職先を見つけるか、仲間と起業するなどで生活の基盤となる収入源をつくる。30歳以降はチャンスを見つけて副業にも取り組みたい。