その雑談が営業目的であるならば、営業マンは単発のビジネスではなく、長期的に成果を上げられるような関係を築くことが求められています。
1回限りで終わるのではなく、将来にわたって末永く安定した関係を築いてライフタイムバリューを高めていくためには、自社のプロダクトのクオリティや価格だけでなく、営業マンの力量が大きく関係します。
雑談を通じてお互いの信頼関係を深めることで、相手に「この人から買い続けよう」と思わせるような、俗にいう「ハマる」状態を作ることが重要です。
海外の一流ビジネスマンは、「CtoC」の関係を「BtoB」につなげることをイメージしながら、ライフタイムバリューを高めるための雑談をしています。
自分のことを知ってもらい、相手のことも理解することで、長期的で安定的な人間関係を築くことを目指しています。仕事のできるビジネスマンの多くは、担当者と深い信頼関係で結ばれた複数の取引先を持っていますから、新規獲得やノルマに悩むことがありません。
「昨年のあれを、今年もお願いしますね」と電話1本で営業を済ませているため、時間と気持ちの余裕を持って次のビジネスと向き合っています。
ビジネスの雑談には4つの「目的」がある
雑談をする際には、確認作業だけでなく、4つの大きな「目的」があることを知っておく必要があります。
しっかりと目的意識を持っていないと、雑談は細切れの会話になり、方向性を見失うことになるのです。
雑談には、次のような目的があります。
1「つながる」相手との距離を縮めて信用を作る
2「調べる」最新の動向や現状に関する情報を収集する
3「伝える」自社の意向や進捗状況などを報告する
4「共有する」最新の情報を相互に認識する
ピョートル・フェリクス・グジバチ 著
この4つの目的は、アジェンダに入る前だけではなく、アジェンダについての話がひと通り終わった後の雑談の目的でもあります。
アジェンダ関連の話が済んで、その場の緊張が少し緩んだ状況であれば、お互いにリラックスして雑談を交わすことができます。相手がどんなことに興味があり、どんなキーワードに刺さるのか、時間が許す限り探っていくことも可能になります。
ビジネスの相手が、自分のことをしっかりと考えてくれて、興味のある話をしてくれたら、誰でも嬉しくなって、話が弾むものです。こちらから話すだけでなく、相手の話に真剣に耳を傾けながら反応を観察していけば、相手の考え方だけでなく、プライベートな話にも触れることができるのです。