スシローPhoto:Diamond

スシローと少年の和解に「失望」した人へ

「なぜ徹底的に戦わない!せっかく応援していたのにガッカリだ!」
「結局こんなもんで済むとわかったら、またバカがいろんな店でメチャクチャやり始めるぞ」
 
 ネットやSNSにそんな「失望」の声があふれている。大手回転ずしチェーン・スシローの運営会社・あきんどスシローが、店のしょうゆ差しを舐めた、いわゆる「ペロペロ少年」と「和解」をしてしまったからだ。

 覚えている方も多いだろうが、スシローはこの少年の愚かな行いのせいで、売り上げが大きく落ちたとして、少年の家族に対して約6700万円の損害賠償を求めた。この提訴はネットやSNSで次のように称賛を受けていた。

「未成年者だろうがなんだろうが、やったことの罪を償わせようという毅然とした態度が立派!」
「模倣犯を防ぐためにあえて嫌われ役を買ってでるなんて尊敬します!」

 だが、そんな“胸熱”の展開はあっけなく終わり、「少年側に責任を認めていただいた」とあっさり和解してしまった。きっちり少年にケジメを取らせて、今後の抑止力にしようと考えていた人たちからすれば、「裏切られた」「あの感動を返せ」となるのもしょうがない。

 スシローが多くの人から逆に厳しい目を向けられて気の毒だから…というわけではないが、筆者は今回の和解はスシローの「英断」だった、と評価している。このまま訴訟を継続していたら大きなリスクがあった。それを回避した、至極真っ当な経営判断だと思う。

 なんてことを言ってしまうと、「貴様のような生ぬるいことを言う人間がいるからバカが調子に乗るのだ」とムカムカする人も多いだろうが、筆者は既にそのような皆さんからのお叱りは散々頂戴している。