キャンドル・ジュンさんへのわかりやすい「ブーメラン」

 広末さんが不倫を認めてほどなく、キャンドル・ジュンさんは記者会見を催した。当時ネットやSNSでは「家族を思う気持ちに涙が出た」「素敵な父親であり夫、こんな人を悲しませる、広末涼子が許せない」と、これまた称賛の嵐だった。

 ただ、この会見に関して、筆者は「危機管理的に失敗」「やってはいけなかった」と苦言を呈させていただいた。

『「聖人夫」キャンドル・ジュンに特大ブーメラン、広末サゲの暴露会見は“やってはいけない会見”だった』
『キャンドル・ジュンさん「広末涼子は良き妻で最高の母」会見が失敗といえる理由」』

 これまた「逆張り野郎!」「ジュンさんの子どもを思う気持ちがわからないのか」といろいろな方にお叱りを受けたのだが、筆者も感情的にはジュンさんに共感する。しかし、この苦言は、あくまで危機管理的な観点だ。

 まず大きいのは、「家族を誹謗中傷から守りたい」という目的を掲げながらも、広末さんの私生活や精神の不安定さを全世界に公表するなど、「言わなくていいこと」のオンパレードだったことだ。結果、広末さんとの関係は修復不能になったし、子どもたちへの誹謗中傷をさらに深刻にさせてしまった。ご本人に悪気がないにしても、危機管理的には「失敗」だと言わざるを得ない。実際、広末さんと離婚となるだけではなく、お子さんたちの親権まで奪われてしまった。

 そこに加えて、「やってはいけなかった」と指摘したのは、あの会見がジュンさんにとってなんの「得」にもならず、むしろ深刻なレピュテーションリスク(信用やブランド価値の低下)を引き起こしてしまうと考えたからだ。

 実際、その通りになっている。

 会見からほどなくして、「週刊女性」にジュンさんの暴行と不倫疑惑が告発された。告発主は、ジュンさんの事務所の元スタッフ男性だ。同僚の女性と不倫関係になったという男性は、ジュンさんからアトリエに呼び出されて「俺の女に手、出したな」と殴る蹴るの暴行を受けたという。男性はジュンさんとこの女性が当時、不倫関係だったと主張している。男性は「広末さんがすごくたたかれていた(中略)嘘はつかないほうがいい」としてこの告発に踏み切ったと述べた。

 そしてつい最近、やはり「週刊女性PRIME」(7月31日)に、ジュンさんと10代の頃から付き合いのある男性による、金銭問題が「告発」された。詳細は伏せるが、以下のタイトルを見れば、どんな方向の話なのか想像がつくだろう。

『「またもらっちゃったよ」不倫発覚で広末事務所が金銭援助、キャンドル氏が続けるブラック被災地ビジネス』

 なぜここにきて急に、ジュンさんを攻撃するような「告発」が続いているのかというと、すべてはあの会見を開いたからだ。「被害者」として広末さんの精神の不安定さや奇行をディスっている姿を見た関係者が、「偉そうなことを言っているが、お前はどうなのさ」と反感を抱いて、メディアへの「告発」を決心させた。それは先の「週刊女性」に告発した男性の以下の発言からもよくわかる。

「支援団体の活動にかこつけたお金、女の問題。被災地の人たちへの不義理……。何が支援だよ、助けるんじゃなくて、助けられてるのはオメーじゃねーかよという感じです」

 ジュンさんが会見をした時、ジュンさんの怒りや悲しみに自分を重ねて、スッキリした人も多かった。そのため、一部メディアやワイドショーが「キャンドル流危機管理は成功」なんて持ち上げていた。

 しかし、危機管理における会見とは、そういう社会の溜飲を下げるためにやるものではない。ダメージを最小限に抑えて、危機から立ち直っていくために、必要最低限の事実やメッセージを伝える場だ。

 そういう意味では、自身の不倫疑惑、暴行の過去、そしてジュンさん自身が何よりも大切にしているはずの「被災地の活動」への重大な疑惑などの告発を誘発させた、あの会見は危機管理的には「悪手」だったと言わざるを得ない。