キャンドル・ジュンさんの会見は「失敗」だ
オリンピックやサッカーW杯と並んで、日本中が熱狂する国民的イベント「芸能人の不倫」が今回も大盛り上がりを見せている。
いつものようにワイドショーは大はしゃぎで、巨大パネルを用いて週刊文春が報じた女優・広末涼子さんのスキャンダルを徹底解説。それを見た視聴者がネットやSNSで広末さんの人格を叩き、その怒りっぷりをネットニュースが大げさに取り上げて、またお祭り騒ぎ…という今や日本社会の風物詩「誹謗中傷の無間地獄」も始まっている。
一方、「芸能人の不倫」では、オリンピックのメダリストやW杯でゴールを決めた選手と同じように、朝から晩までメディアが取り上げて一躍、「時の人」になる人もいる。今回の場合は広末さんの夫、キャンドル・ジュンさんだ。
これまで「不倫をされた側」が記者会見を開くというケースは少ない。確かに「被害者」ではあるが、だからといって公衆の面前で不倫をした側をボロカスに叩くことが許されるわけではないからだ。
例えば、仮に事実であったとしても、不倫をした人の社会的評価を著しくおとしめるような発言をした場合は名誉毀損にあたるだろう。つまり、いっときの感情に任せて、会見で不満をぶちまけてしまうと、離婚に向けた協議が泥沼化したり不利になってしまうリスクがある。だから、一般的に「被害者」は法的問題がクリアになるまで沈黙を守るか、「当事者間の問題なので、そっとしておいてください」とメディアに自制を呼びかけることが多い。
しかし、ジュンさんは会見を開いた。しかも、会場での受付から呼び込みまでワンオペで行い、質問するメディア記者を登壇させて隣に座らせるという「トークセッションスタイル」だった。かなり独特な会見だったということもあり、当日の報道はジュンさん一色になった。
このようなセオリー破りの「キャンドル流危機管理」については、専門家の中で評価している人もいる。特に質問者を隣に座らせる「トークセッションスタイル」は、会見で質問をしないで一方的に相手をなじったり、政治色の強い演説を始めたりする「迷惑記者」の対策に取り入れたらいいのではないか、なんて意見もあるほどだ。
ただ、報道対策アドバイザーとしてこれまで多くの会見をサポートしてきた経験から言わせていただくと、ジュンさんの会見は危機管理的には「失敗」だと言わざるを得ない。