たとえ明日終わったとしても「やり残したことはない」と思える人生にする写真はイメージです Photo: PIXTA

毎日必死に生きてはいるけれど、「悔いのない人生」かと問われれば自信がない。「やり残したことはない」と胸を張って日々を送るためには、「Labor(仕事)」「Love(家族や友人たちとの時間)」「Leisure(余暇)」「Learning(学び・自己成長)」という「4つのL」をバランスよく充実させる必要があるという。この「4L理論」のうち「仕事」と「余暇」の関係について、ウェルビーイングコンサルタントの杉村貴子氏が解説する。本稿は、杉村貴子『たとえ明日終わったとしても「やり残したことはない」と思える人生にする』(日本実業出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

ベストを尽くさなかった仕事は
人生の後悔になりやすい

「出せる力は全部出した」と思える仕事はありますか?

「あのとき、ベストを尽くさなかった……」という後悔は、人生の最後まで残りやすいものです。

「受験勉強をもっとがんばればよかった……」
「大学でもっと真剣に学べばよかった……」
「納得のいく就職活動をもっとすればよかった……」
「あの仕事にもっと全力で取り組めばよかった……」

 しかし、そうしたかつての後悔も、今からでも十分、上書きして変えていくことができます。それに過去の認識を変えることだけでなく、わたしがアナウンサーの夢に再びチャレンジしたように、一度はあきらめた仕事に挑み、新たな道を切り拓くことだってできます。

 テレビ局でわたしが最初に担当させていただいたのは、わずか5分の生放送でしたが、わたしはその仕事に全力で向き合いました。ストップウォッチを片手に繰り返し原稿を読み込み、それをプロデューサーの方に聴いていただく。オンエアの録画を何度も見返してひとりで反省会をやる。やれることはすべてやりました。

 わたしはもともと器用なタイプではなく、自信があるタイプでもなかったからこそ、何事にも全力でぶつかるしかありませんでした。しかし、全力で向き合っているうちに、見えてきたものがあったのです。まず全力で仕事に向き合うと、結果がうまくいかなくても納得でき、爽快感を覚えます。「自分はここまでは絶対にできる」といった自信も得られます。一生懸命やったからこそ、得られるものがあるのです。

 まずは、10分でいいので、全神経を集中させてベストを尽くす時間をつくってみてください。だれもが小さかったころ、できなかったことができるようになるには、必ずべストを尽くして集中したはずです。10分あれば、人は変われます。集中状態を体感することで、忘れかけていたベストを尽くす感覚を取り戻せます。

 わたしの夫、杉村太郎は2004年に出版した『アツイコトバ』で、次の言葉を残しました。

「死ぬ気でやれよ、死なないから」

 たまにこの言葉の真意を誤解されてしまうのですが、太郎は決して「死ぬ気で働け」と言っているわけではありません。全力を出して本気で向き合うことで見えてくる、新たに開ける世界と出会うことの大切さを伝えたかったのです。