全力を出すためには休息も必要

 ただし、全力と言っても、休息も欠かせません。4輪レースの最高峰であるフォーミュラ1でも、F1マシンを必ずピットストップに入れてタイヤ交換を行います。ピットに入らないで走り続ければタイヤがバーストして、リタイアを余儀なくされるでしょう。

「仕事」も同じです。適切な休みをはさんでリラックスすることで、「仕事」をより充実させることができるのです。

 そのF1レースにも参加したことのあるポルシェの正規ディーラーを展開するエポカルインターナショナルの代表取締役社長で、太郎ともご縁が深い井上達哉さんは、以前、こうおっしゃっていました。

「ポルシェは、世界一速く走れるエンジンを搭載したスーパーカーだと言われています。たしかにそうなのですが、本当のすごさはアクセルだけでなく、世界一のブレーキも積んでいるところです。いざというときに必ず止まれるから、安心してアクセルを踏みこむことができるのです」

 集中してベストを尽くすアクセルと、休むべきときには休むブレーキ。仕事では、この両方とも大切なのです。

定年後の8万時間のために
仕事以外の楽しみを見つける

 自分から「仕事」を取ったら何が残りますか?

 仕事中心のライフスタイルを送っている社会人は珍しくありません。中には「趣味は仕事」という人もいます。しかし、その仕事に定年があるとしたら、どうでしょう?人生のすべてであった仕事がなくなったときに何が残るでしょうか?

 もし「仕事(Labor)」以外の自分が想像できないとしたら、ここで「4つのL」のバランスについて、あらためて考えてみてください。「Love(家族や友人たちとの時間)」「Leisure(余暇)」「Learning(学び・自己成長)」にどれだけ時間を注いでいますか?

4つのL全米キャリア発達学会の元会長サニー・ハンセン博士が「幸せに欠かせない具体的な要素」として挙げた4つのL。

 現代は、定年を迎えたあとの人生についても想いを巡らせながら生きていくことが大切な時代になりました。『定年後』(中央公論新社)の著者で人事・キャリアコンサルタントの楠木新さんによると、定年後、自由な時間は約8万時間あるそうです。しかも、この8万時間というのは、20代から60代までに働いてきた時間よりも長いとも言われています。

 今現役で働いている人には、定年後というのは、想像がつきにくいかもしれませんが、定年まで働いた時間よりも定年後のほうが長いと聞けば、漠然とでもその長さが感覚的にわかるのではないでしょうか。