例年の夏はガソリン小売価格が下がる傾向にあるが、今年はまるで違っている。米国ではガソリンの卸売価格が7月3日以降13%余り上昇し、9カ月ぶりの高値圏にある。ドライブシーズンの終盤に小売価格が上がるのは間違いなさそうだ。一方、トラック輸送や製造業、農業に必要なディーゼル油の卸売価格は26%上昇している。値上がりの大きな要因は、ロシアとサウジアラビアの減産が原油市場の引き締まりを招いているほか、エネルギー消費国である米国経済の力強さを巡り楽観ムードが広がっていることだ。指標原油価格はここ1カ月で14%近く上昇した。天候とウォール街も一役買った。アナリストらによると、米国各地を襲っている猛暑の影響で原油精製に必要な冷却プロセスに遅れが生じ、燃料生産に支障が出ている。一方、エネルギー市場では、ハリケーンシーズンが始まれば製油所が操業停止に陥り、買い手が殺到するとの読みから、先物に買いが集まっている。