中小企業では見落とされがちな株主管理。設立時の出資者や相続による株主変更など、気がつかないところで株式が分散していることが多い。平時は何事もないようでも、分散株式があることで安定した経営ができないばかりか、経営権を失う事態も生じうる。『社長のための分散株式の集約で経営権を確保する方法』を上梓した喜多洲山氏に、分散株式による経営リスクの問題点を聞く。

少数株主の存在は会社運営上の大きなリスクになる!Photo:Adobe Stock

自社の株主をきちんと把握しているか

 もしもあなたが、二代目、三代目の経営者だとしたら、会社の株式についてすでに何度か相続を経ているため、積極的に株式を集約していない限り、株式を100%保有してはおらず、ある程度分散しているはずです。

 その場合、あなた以外にも、兄弟や親族、従業員や関連企業などが少数株主として存在しているのではありませんか。果たしてあなたは、現時点で経営権を確保するのに十分な株式を確保しているとお考えでしょうか。

 そのとおりだと考えるなら、一体何%を持っていればとりあえず安全でしょうか。それとも、たとえ株式が分散していたとしても、それぞれの株主が自分の意に反しないと信頼しているのでしょうか。彼らが将来裏切る可能性は、本当にゼロでしょうか。

 そもそも、あなた以外の少数株主がどこの誰なのか、しっかり把握しているでしょうか。株主名簿はどうなっていますか。

 もしかしたら、株を持っていると思っていた方がすでに亡くなっていて、その持ち株がさらに相続されているかもしれません。