「自分が死んだら、スマホやパソコンの中身が全部空っぽになったらいいのに」と願う人は多い。家族や友人知人に見られたくないやりとりや写真があっても、あちこちに散在する自分のデジタルデータを全て死後自動的に消し去ることは現実的ではない。しかし、「見られたくないデータを隠す、消去する」という目的であれば、何かしらの手を打つことはできる。ここでは3つの方法を紹介する。(ジャーナリスト 古田雄介)
「死ぬときにデータを空っぽにできたらいいのに」
人類がデジタルを手にして以来の願望
筆者は2010年から、パソコンやスマホ、クラウドやネットサービスなどに死後も残されるデジタルデータ、いわゆる「デジタル遺品」について調査している。調査を始めて以来13年間、毎年誰かに言われるのが「自分が死んだらパソコン(スマホ)の中身を空っぽにできたらいいのになぁ」という嘆きにも似た願望だ。
2010年より前から、自殺の名所に「ハードディスクは消したのか?」と書かれた立て札があるコラージュ写真がネットでバズっていたし、2017年には亡くなった作家の遺言に従い、未完の作品などを収めたハードディスクをロードローラーで破壊したニュースが英国で報じられるなどしている。年代や国境を超えて、多くの人の琴線に触れるテーマであることはおそらく間違いない。
実際に、自分の死後にデジタル機器の中身を空っぽにすることはできるのか?本記事では、真面目にその作戦を立ててみたい。