最初にやるべきは
「隠したいデータがどこにあるか」の把握

 具体的な作業に入る前に、まずはデジタルデータの置き場所を確認しておく必要がある。スマホやパソコンのストレージの中身を隠そうとするなら、バックアップ先まで把握しておかなければならない。スマホはクラウドにバックアップを残す設定が多いし、パソコンはストレージ内の別の場所に一時フォルダーが作られることもある。LINEやメールのやりとりを隠すのであれば、運営元のサーバーや送受信の相手の端末まで視野を広げる必要があるだろう。

 ただ、相手のあるデータはすべてを管理するのが難しいので、ひとまずは自分だけで完結するデータから作戦を考えてみるのが良いと思う。であるならば、要はバックアップ先のコントロールだ。

 たとえば、iPhoneならiCloudにバックアップする項目をアプリ単位で設定できるし、FinderやiTunesを使ってパソコンに手動で保存するといったこともできる。AndroidやWindowsも、特定のフォルダーやアプリ内のデータをローカルに留めることはできる。

 こうして墓場まで持っていきたいデータを掌握した上で、本来の目的である「自分が死んだら中身を空っぽに」を考えたい。持ち主の生死とぴったり連動させることは難しいので、現実的には次のような方法が挙げられる。

(1)遺品調査の段階で削除される仕掛けを作る
(2)暗号化してパスワードが伝わらないようにする
(3)死後事務委任契約を結ぶ

 順番に検討していこう。