卒ダン相手を求めて三千里

 まず、最初のチャンスは「合コン」です。防大には女子大となぜかコネクションがある学生がおり、彼らに頼めば合コンへの参加は可能です。

 しかし、防大生は修行僧のような生活をしているため、一般大学へのカルチャーショックを受け、女性への接し方が分かりません。さらに女性側から「防大の生活について教えて」と聞かれると、ヘビーな学生生活を語り出し、楽しくなって合コンなのに恐怖の身内ネタを連発させます。すると女性側が冷めてしまい、「ただの飲み会」となり、恋に発展することは稀です。

 次のチャンスは「開校記念祭」です。開校記念祭では一般女性が大勢やってくるため、積極的な学生は「この人だ!」と思う女性に声をかけます。ただ、「同期の妹だった」や「後輩の彼女だった」という大ハズレもあり、生涯ネタにされます。

 最近では「恋の片道キップ」という彼女募集の掲示板ができ、一般女性も出会いを求めてやってくる節があるので、一昔前よりも学生と女性の出会いが増えました。掲示板の前で、目をギラギラにしたご婦人が片っ端から学生のアドレスを押さえていたり、ニューハーフのお姉様たちが「この子はかわいいわね」と微笑んでいたりする姿は、なかなかの見ものです。

 最後のチャンスは「高校時代に好きだった子への再アプローチ」です。地元にいる女の子に「私と踊ってくれませんか?」と告白するのです。これが成功するとレジェンドとなり、ピュアな防大生たちは「そんな話ある!?」と大盛り上がりになります。

 質実剛健で真面目な防大生はなんだかんだピュアであり、かわいい側面があるので、このギャップが好きな女性も一定数いるようです。ただ、何も出会いがなく、恋愛を1ミリもすることなく4年間を過ごす人が多いのも、また事実と言えるでしょう。

内部恋愛は注目の的

 防大生の内部恋愛を内恋(ないれん)と呼びます。内恋は校則では禁止されていませんし、学生恋愛は個人の自由です。卒業後に結婚する人たちも多く、微笑ましい青春の一ぺージともいえます。

 しかし、防大では圧倒的に男子学生が多く、女子学生が少ないという特性から、内部恋愛をする学生は常に注目を集めます(レンジャーにかけて「ナイレンジャー」と称されることも多いです)。あらぬうわさが立ちやすく、人間関係のトラブルにも発展しやすいため、「内部恋愛は危険な果実」と考えている学生も一定数います。

 ちなみに、防大には「内恋撲滅委員会」という非公式の地下クラブが存在します。彼らは「小原台は愛を育むところではない!」と高らかに語り、「内恋、ダメゼッタイ」と布教活動をします。この内恋撲滅委員会は「加入する」と宣言すれば、その場で加入可能です。

 といっても、彼らはみんなで会合をするわけでもなく、他人の恋愛を妨害するわけでもありません。その辺でコーラを飲みながら「内恋はけしからん」と熱く語っているだけです。モテない男の僻みを具現化したジョーククラブと言えるでしょう。