「スーフリ事件」を思い出す、加害者の無責任さ
だが、それでも納得のいかない人は多いようで、今もネットやSNSで加害者を責めることなく、やたらと「警備」や「運営」が悪いという主張をしている。世界一礼儀正しい日本人が、性犯罪などするわけがない、と願うそのお気持ちは痛いほどわかる。
ただ、過去に多くの性加害者たちから、実際に話を聞いてきた立場で言わせていただくと、今回出頭した2人の話していることは、典型的な性加害者の言い分だ。
今から20年前、スーパーフリー事件というのがあった。
早稲田大学のインカレサークル「スーパーフリー(スーフリ)」で女子大生らへの集団性的暴行を常習的に行っていて、被害者は数百人以上にのぼるということで、加害者たちは社会から厳しく糾弾された。しかし、立件されたのはわずか3件で、関わっていた大学生の多くはおとがめなしとなった。
筆者は加害した側の大学生たちに何人かにインタビューをしたが、多くはDJ SODAさんの胸を触った2人と同じようなことを言っていた。つまり、「今日は宴だという感じ」とか「酒に酔っていた」「ノリでやってしまった」と、ちょっとした勢いで集団性的暴行をしてしまったくらいの軽い感じだったのだ。
マスコミは「鬼畜の所業」と彼らを叩いていたが、当の本人たちはそんな非人道的なことをしたという気はなかった。「まわりのみんながやっていたので仕方なく」と自己正当化したり、「女性側もその気だった」と耳を疑うような弁明をする者が多くいた。むしろ、マスコミに追いかけ回されたり、ネットで実名がさらされたりすることで、「自分も被害者」くらいに思っている者までいた。
「露出した韓国人DJの胸を触ったくらいでスーフリと一緒にするのは気の毒だ」と思うだろうが、スーフリの残党たちも、自分たちのことをそう思っていた。日本中の大学生と同じく、酒を飲んでちょっと羽目を外しただけなのに、なぜ自分たちだけが世紀の性犯罪者扱いされるのだ、と。
他にも共通点はある。今回、DJ SODAさんを触った2人も謝罪の場で、これからどうするか問われたところ「流れに身を任せようと」と発言をしたことが無責任だと批判されているが、スーフリ残党のある大学生もこれからどうするのかと尋ねたら、「なるようにしかならないし、退学になったら、この経験を活かして起業とかしたい」なんて笑っていた。
つまり、彼らの頭には自分が「加害者」で、相手の女性が「被害者」という構図がスコーンと抜けている。この無責任さが、性犯罪者に共通する特徴だと思っている。