子どもの娯楽を
否定しない
スマホだけでなくゲームや漫画、YouTubeなど、学習の妨げになるような娯楽と、親はどのように向き合うべきだろうか。
「『ゲームや動画=害悪』という見方は一面的。たとえば漫画から歴史を学んだり、ゲームからプログラミングに興味を持ったり、戦略を考えたり、こうした遊びが将来の道につながる可能性もあります。また、これらの娯楽は大人でも夢中になるように作られているので、子どもが夢中になるのも当たり前。『子どもが時間を忘れるのも無理はない』と思っていると、多少イライラが軽減するかもしれません」
大人たちがゲームなどを「そろそろやめよう」と思える理由は、「明日までにこれをやっておかなければいけない」「そろそろ寝ないと明日の仕事に支障をきたす」といったことが、経験則でわかっているからだ。
「子どもは未来のスケジュールまで見通せないので、見通せるような形を作りましょう。例えば、子どもとスケジュールを一緒に立ててみて、『学校は○時間、習い事は○時間、宿題は○時間、○時には寝ないといけないから……、動画は○分だね』と具体的な話し合いができると納得感があると思います」
また、親自身の趣味や興味・関心を子どもと共有することも重要だ。子どもの好奇心の芽生えは、親をきっかけにしていることも少なくないのだという。
「『博物館に行かなきゃ』『勉強になるような本を買い与えなきゃ』と保護者の方は自分自身にプレッシャーをかけてしまいがちですが、まずはご自身の興味があることを子どもと一緒に楽しんでみましょう。例えば『日本の絶景』が掲載された写真集を見ながら『ここに行きたいんだよね。○○が魅力で、昔行った○○を思い出すの。そういえば、この場所でひやっとするようなことがあってね……』と自分の体験談や興味を話す。また、『この展示どうしても見たかったの。付き合って!』と興味のある博物館に子どもを誘ってみる。『この映画が見たい』でも『この料理が食べてみたい』でもいい。子どもは保護者が考えている以上に、親からの影響を受けているものです。まずは保護者自身の興味を基点に、子どもの体験を広げていけるとよいのではないでしょうか」
もちろん、こうした体験が必ずしも子どもに響くとは限らない。期待通りの反応がもらえず、ガッカリした経験をもつ親は少なくないだろう。とはいえ親がいろいろなことに興味・関心を持っている姿勢は、子どもにもいい刺激になることは間違いない。
「小学校の先生がクラスの子どもたちに、『私はみんな以上に勉強して一つ一つの授業を作っているんだよ』と伝えると、一部の子から『大人なのに勉強しているの?』と声が返ってきたそうです。『学び続ける子に育ってほしい』と思うならば、最も身近にいる大人である保護者が学びを楽しむ姿勢を持っていることが大切。興味のある本を読んだり、資格の勉強をしたり、まずは、自分の関心に目を向けることから始めてみてください」
大人は勉強しないもの、子どもたちがそう思っているのだとしたら、それは周囲の大人にも姿勢の見直しの余地がある。自分から勉強する子になってほしいという願いを叶えていくには、まずは親が身をもって学ぶことを楽しんでいる姿を見せることが大切なポイントなのだ。