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原発処理水放出を
政治問題化する中国

 東京電力は8月24日、福島第一原発の処理水を太平洋に放出する作業を開始した。同日、中国は日本産水産物の全面禁輸を発表、さらに25日には、中国は食品業界の経営者に対し、日本産の水産物を購入し、加工、調理、販売することを禁じると発表した。

 処理水放出を巡り、中国によるいたずら電話攻撃や化粧品の不買運動などが激化の様相を見せる中、外務省は、中国への渡航や滞在を予定する邦人に注意を呼びかけている。

 日本政府が2011年の福島原発事故直後に緊急避難措置として低濃度汚染水を海洋に放出した際、十分な事前周知がなかったため、国内外から多くの批判を招いた。その反省から、今回の処理水の放出に際し、国際社会の理解を得るよう外交努力を重ねてきた。

 国際原子力機関(IAEA)は、処理水に関するレビューの実施結果を総括する報告書内で、「ALPS処理水の海洋放出へのアプローチ、ならびに東電、原子力規制委員会および日本政府による関係する活動は関連する国際的な安全基準に整合的である」とし、人や環境に与える放射線の影響は「無視できるもの」と評価し、グロッシ事務局長は中国や韓国など多くの国が同様に処理水の海洋放出をしているとした。