中国人の爆買いは「もう死んだ」…日本への団体旅行解禁でも期待外れに終わる理由写真はイメージです Photo:PIXTA

8月10日、中国政府は日本を含む海外への団体旅行をついに解禁した。コロナ前のように中国人観光客が大勢やってきて、“爆買い”が復活するのではないかとインバウンド効果に期待する声は大きい。しかし、中国からの来客や視察ツアーをよくアテンドし、買い物の同行もしている筆者は「団体旅行客が急増することはないし、爆買いも復活しないだろう」と予想する。その理由とは?(日中福祉プランニング代表 王 青)

銀座のデパートからニトリへ
日本を訪れる中国人富裕層の財布のひもが固くなっている

 今年の夏は暑い。できることならどこにも出かけたくない、クーラーが効いている室内でずっと過ごしたい思いだが、今年の7月から8月にかけて、夏休みを利用して、たくさんの中国の友人たちが家族連れで来日した。彼らに会うため頻繁に外に出かけなければならなかったが、顔を見ると約4年ぶりの再会の喜びは大きく、延々と話が尽きることがなかった。

 上海の友人Aさん(女性、40代後半)は、子ども2人を連れて、この夏2週間以上東京に滞在した。上の娘さんが今秋から日本の大学に留学するので、彼女のためにマンションを借り、家財道具一式をそろえるための滞在だった。

 もう一組の友人夫婦は、既に日本で留学している娘さんと、今後の留学生活について親子で話し合うための来日だった。そのほかにも、北京や上海などからやってきた、日本の介護ビジネス視察の団体をアテンドした。

 このように中国から来た友人知人たちと一緒に過ごした今年の夏、筆者にはある印象が強く残った。それは「皆が買い物をしなくなって、財布のひもを固くしている」ということだ。

 上述のAさんが、娘を日本に留学させるというのは筆者にとっては意外だった。彼女は一家で既にアメリカの国籍を取得しており、子どもたち2人は上海で生まれたものの、幼稚園からインターナショナルスクールに通っている。学校では英語しか使っていないので、中国にいながら、中国語の家庭教師を付けていた。大学はアメリカへ行かせるとずっと言っていたので、「なぜ日本を選んだの?」と聞くと、彼女は「もうお金がないの。日本の大学の学費はアメリカの5分の1。物価も安いから」と返ってきた。