セブン&アイ・ホールディングスが米フォートレス・インベストメント・グループに売却を決めた百貨店子会社そごう・西武の旗艦店、西武池袋本店の売却後の運営方針が判明した。西武池袋本店の不動産をヨドバシカメラが取得し、最も集客力が高い「最高立地」で独自にビジネスを展開する。ただし、ヨドバシが使用する売り場面積はさらに拡大するとの見方があるなど、関係者は疑心暗鬼に陥っており調整は難航。2月1日に実行予定の株式譲渡は、延期の公算が大きい。特集『セブン解体 池袋動乱編』(全6回)の#1では、西武池袋本店のリニューアル計画の詳細を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 新井美江子、重石岳史)
ヨドバシが「最高立地」で売り場展開
西武池袋本店のリニューアル計画判明!
昨年11月11日、セブン&アイ・ホールディングスにより米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループへの株式譲渡が発表された百貨店子会社のそごう・西武。発表時、その売却後の詳細についてはベールに包まれていたが、旗艦店である西武池袋本店の運営方針が判明した。
西武池袋本店の不動産を、フォートレスが「ビジネスパートナー」と称して手を組むヨドバシホールディングス(HD)傘下のヨドバシカメラが取得し、最も集客力が高い「最高立地」で独自にビジネスを展開。そごう・西武は、リースバックで残りの売り場にテナントとして入居する。
しかし、「収益向上」を錦の御旗に練られるこの“リニューアル計画”は、百貨店事業を崩壊させかねない劇薬といえる内容だ。しかも計画は流動的であり、ヨドバシカメラが使用する売り場面積はさらに拡大するとの見方もある。
関係者の承諾を得るのは至難の業といえそうで、2月1日の契約実行は延期となる公算が大きい。
次ページでは、焦点となっているヨドバシカメラの売り場範囲を含む運営方針の詳細を明らかにする。
利害関係者の間で始まっている議論はすでに紛糾している。それどころか、紛糾は想定可能だったにもかかわらず事態をコントロールできなかったとして、セブン&アイへの不信感も生じている状況だ。いったい、フォートレスの下で西武池袋本店は、どう手を加えられようとしているのかーー。