週刊誌にも報じられた
欠陥住宅のトラブル
SNS上で先日、「待望の一戸建て住宅を購入したばかりなのに、トラブル続き。何らかの施工不良があるのではないか…」といった不安の声を投稿するユーザーを見かけた。「壁やクロスが傷だらけ」「設備のネジが緩んでいる」などの軽微なトラブルから、「床が傾いているような気がする」といった深刻なトラブルまで、さまざまな声が上がっている。
新築住宅の施工トラブルといえば、少し前に週刊誌の記事でも取り上げられていた。首都圏を中心にリーズナブルな戸建て住宅を提供する住宅メーカーが、購入者から「欠陥住宅を販売された」と告発されているというものだ。好立地でありながら相場より格安な住宅を提供し、右肩上がりの業績を続けてきた同社。利益や成長が優先された結果、肝心の住宅そのものへの目配りがおろそかになってしまった可能性もあるだろう。
残念ながら、記事になった事例だけが特別なわけではない。施工不良やトラブルが生じるのは、業界全体の問題である人手不足が大きく影響している。新築の着工棟数は減少傾向にはあるものの、大きく減ってはおらず、局所的には増えていることもある。ところが工事の品質を管理する現場のリーダー、作り手である現場監督を担える人材がいないのだ。
若手も集まりにくく、2021年の大工の就業者数は492万人のうち36%が55歳以上だった。そして、ベテランはどんどん引退していっているのが現状だ。数少ない人材は現場の掛け持ち棟数も多く、おのおのに大きな負担がかかってしまうことになる。当然ながら、抱える業務が増えれば増えるほど、ミスやトラブルのリスクも高くなってしまう。施工不良などのトラブル発生を防ぐためにも、建築業界が解消すべき大きな課題といえる。