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拙著『結婚の社会学』では男女の世代別未婚率の推移を示したグラフを掲載しましたが、1975年には、30代前半では男性の未婚率は14.3%で、女性は7.7%です。それが1990年には、30代前半の男性の未婚率は32.6%、女性は13.9%まで上昇しています。
平均初婚年齢も、1975年は男性27歳、女性24.7歳。40年ほど前までの日本は、女性の半数が24歳までに結婚している社会だったのです。それが1990年には男性28.4歳、女性25.9歳と1歳以上も上昇しています。
このような状況の中で合計特殊出生率が過去最低の1.57になったことが発表されたのが、1990年という年でした。それ以降、研究者や政策担当者、マスコミの中で少子化が問題視されるようになったのです。
晩婚化ではなく未婚化
データをどう解釈するかに関して、当時の研究者の大勢は「これは、晩婚化である」という認識でした。政策担当者やマスコミも同様です。
しかし、それは違うんじゃないか……。私はそう考えました。
晩婚化というのは、「いずれみんな結婚するが、いまはそれを先延ばししている」という意味です。当時、多くの研究者や政策担当者、マスコミは「いまの若者は結婚にメリットを感じなくなって、独身生活を長く楽しみたいと思っている。だから結婚年齢が上昇している」というような論評をしていました。要するに、結婚を先延ばしにしているだけ=晩婚化という見立てです。