少子化の大きな要因となっている「未婚化」。中央大学教授で家族社会学者の山田昌弘氏は、1975年にはその傾向はあったと指摘する。山田氏の著書『結婚不要社会』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集し紹介する。
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1989年の人口動態統計で、女性一人が生涯に産む子どもの平均人数を示す合計特殊出生率が過去最低の1.57になりました。厚生省人口問題研究所(現・国立社会保障・人口問題研究所)は翌1990年、この現象を「1.57ショック」と名付けて初めて警鐘を鳴らしましたが、その時点では少子化という言葉はまだありません。
少子化という言葉の誕生は、それから2年後、1992年に「少子社会の到来」というタイトルの『国民生活白書』が経済企画庁(当時)より発表されたことで、徐々に社会問題化していきます。ちなみに欧米には、少子化に相当する単語はありません。
拙著『結婚の社会学』には、1995年実施の国勢調査のデータは反映されていません。同書は1990年の国勢調査や、1992年の出生動向調査などさまざまな90年代前半のデータを基に記述しています。
90年代前半までのデータによれば、「晩婚化」の傾向は1975年以降著しく、1990年頃になると、それがはっきりと目に見えるかたちになってきたことがわかります。