大阪~福井間の
短縮はわずか3分

 所要時間は東京から福井が最短2時間51分、敦賀が3時間8分、現在の金沢乗り換えからそれぞれ36分、50分の短縮になる。また、大阪から敦賀まで特急「サンダーバード」、敦賀で北陸新幹線に乗り換えると、大阪~金沢間は2時間9分で22分の短縮。大阪~富山間は2時間35分で29分の短縮になる。

 だが大阪~福井間は1時間44分、わずか3分の短縮と、新幹線の開業を待望する福井県にとっては物足りない数字になる。というのも現在の特急「サンダーバード」は、大阪~福井間約191キロを1時間20分程度で走破するが、うち敦賀~福井間は約54キロにすぎず、所要時間は約30分だ。

 北陸新幹線の最高速度は「サンダーバード」の倍となる時速260キロだが、敦賀~福井間では10~15分の短縮にすぎない。敦賀駅は新幹線ホームの直下に在来線特急専用ホームを設置し、短時間の乗り換え時間を可能とする構造だが、それでも待ち時間を含めて10分程度は必要になるだろうから、所要時間がほとんど変わらないのは当然だ。関西対福井の移動はむしろ不便になると感じる人もいるだろう。

 一方、停車回数で見ると利便性は向上する。現在の「サンダーバード」は武生駅に14.5往復、鯖江駅に11.5往復、福井駅に24往復、芦原温泉駅に14往復停車する。

 福井県内に新設される新幹線駅は、敦賀、越前たけふ、福井、芦原温泉の4駅。このうち越前たけふ駅のみ在来線と接続しない新幹線単独駅だ。延伸開業後、「サンダーバード」と接続する新幹線の停車回数は、福井駅が25往復、越前たけふ駅と芦原温泉駅が16往復となり、利用機会は増加する。

 ひとつ気になるのは越前たけふ駅から約3キロ離れた武生駅、約5キロ離れた鯖江駅の在来線特急利用者の行方だ。繊維・化学・電子工業が盛んな越前市の玄関口である武生駅と、眼鏡・繊維・漆器産業の盛んな鯖江市の玄関口である鯖江駅は対関西のビジネス利用が多く、彼らにとって不便になるように思えるが、この地域ではプライベート利用を含めて駅まで送迎するのが通常なので、大きな影響はないのかもしれない。