アイスクリームの触感に近いクリームを開発し、メロンパンに挟んでみました。

 また、クリームにザラメを入れることで、氷のような冷たさを感じてもらう工夫をしました。さらに、できあがったパンを冷蔵しておくことで、ヒンヤリとした触感を保つようにしました。これは、大変ご好評をいただきました。

 このようにお客様の気温に対する心理の変化に着目して商品開発や販売方法を工夫することで、「夏場にパンは売れない」という常識に立ち向かったのです。

 結果は上々でした。

 日差しの強さがまだ弱い早朝と夕方を中心に、来店客数が約10%増加したのです。

 多くのお客様は、少しでも「涼」を感じたいと思っていたようで、この新商品を目当てに来店されました。来店されれば、「ついで買い」にもつながります。結果的に、通常の夏場と比較して、ベーカリーチェーン全体の売上は8~12%程度も上昇しました。つまり、「夏場にパンは売れない」という打つ手なしと思われた常識に、勝てるやり方を1つ獲得できたのです。

 人の何気ない行動の裏には、「気温」や「天候」が大きく作用しているものです。

「数字」と「お客様心理」をあなたのアイデアづくりに応用してみてください。

「気温が5度変わる」とコンビニの売れ筋はどう変わるのか?