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「CMが良かったから売れた!」「商品が悪くて売れなかった」……売り上げの好調・不調の要因を言い当てる会話は、マーケターに限らずそこらじゅうで繰り広げられている。売れた理由、そして売れなかった理由は、商品力、価格、配荷力、ブランド力、広告やプロモーション、PR、販売促進、バズ、クチコミ、インフルエンサー、競合の存在や景気と、いろいろありそうだ。何が本当で、何がウソなのだろう?(トライバルメディアハウス代表 池田紀行)

大企業における売り上げの分かりにくさ

 ほとんどの社員は、売り上げを作るために日々一生懸命仕事に打ち込んでいる。しかし思ったように売り上げが上がらない。ヒットを出すことができない。たまにヒット商品が出たり、想定以上の売り上げが上がったりすることがあるものの、偶然性が高く再現性が低い……。

 それでも、売り上げに影響を与える要因の数が少ない中小企業ならば、売り上げが上がったとき、もしくは思うように売り上げが上がらないとき、何が要因なのか、原因を特定することが比較的容易にできるだろう。原因が特定できれば、売り上げが上がった要因を強化し、売り上げが上がらない要因を改善する努力をすればよい。原因特定→改善・強化するための施策の流れが、シンプルだ。

 しかし、大企業になると話はまったく別である。長い歴史がある。ブランドがある。商品点数が多く、過去に商品を購入した膨大な数の顧客の良い記憶も悪い記憶もある。ロングセラーの定番商品だけでなく、ひっきりなしに新商品が発売され、多くの広告やPRや販売促進施策が同時に展開される。競合も多く、強い。