手術を受けるなら、女性外科医のほうが男性外科医より安全なワケ患者が手術後に良好な状態を維持したいのなら、女性外科医に執刀を頼む方がいい?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

手術を頼むなら女性外科医、
男性外科医?

 外科領域はいまだに男性中心の世界であるが、患者が手術後に長期にわたる良好な転帰を得たいのなら、女性外科医に執刀してもらうことが鍵であることを示唆する2件の研究結果が報告された。両研究とも、「JAMA Surgery」に8月30日掲載された。

 1件目の研究は、トロント大学(カナダ)外科学分野のChristopher Wallis氏らが、2007年1月1日から2019年12月31日の間にカナダのオンタリオ州で実施された25種類の一般的な待機的手術または緊急手術を受けた成人患者116万5,711人を対象に、外科医の性別と術後90日および1年後の転帰(死亡、再入院、合併症の発生)との関連を検討したもの。

 対象者のうち、15万1,054人の手術を女性外科医が担当していた。術後に1つ以上の有害事象が生じた患者の割合は、手術から90日後で14.3%、1年後では25.0%であった。患者、外科医、麻酔科医、および病院に関わる因子を調整して解析した結果、手術から90日後に有害事象が生じるリスクは、男性外科医による手術を受けた患者の方が、女性外科医による手術を受けた患者よりも有意に高いことが明らかになった〔13.9%対12.5%、調整オッズ比(OR)1.08、95%信頼区間(CI)1.03〜1.13〕。

 この結果は、手術から1年後でも同様だった(25.0%対20.7%、同1.06、1.01〜1.12〕。Wallis氏は、「女性外科医の治療を受けた患者は、死亡、再入院、重大な合併症を経験する可能性が低かった」と結論付けている。