独身のまま、2年続けた不妊治療。それでも、採卵は叶わず

【結婚の予定はないけど、不妊治療】26歳で早発閉経と診断された千種ゆり子さんのお話 (2)写真・よねくら りょう

この排卵誘発剤での刺激を2年間続けても採卵できなかった私は、次にIVA(原始卵胞体外活性化法)という治療法を試すことにしました。

IVAとは、早発閉経で卵巣機能が低下した人の新しい不妊治療として期待されている治療法です。
卵子のもとになる原始卵胞が卵巣の中にあるかどうかを確認して、眠っている原始卵胞があったら活性化して培養し、卵管の中に戻すというものです。

この治療を行うには、卵巣の組織片を切り出して原始卵胞があるか検査する必要があります。
ところが検査を受けたら、取り出した組織片には原始卵胞が1個もなかったんです。

自己注射で刺激しても採卵できず、組織片に原始卵胞も見つからない……。

「それなら」と納得がいった私は、29歳で不妊治療にピリオドを打ちました。

まだ若いうちに不妊治療をやめる決断をしたのは、「結果が出ないかもしれないことに時間とお金を使って、あとで自分が納得できるのかな」と考えた結果です。それよりは、もっと社会の誰かのためになることに使ったほうが自分らしいなと思って。

最近は社会が変わって「人間としてどう生きるか」というところを一人ひとりが重視してもいい世の中になってきているなか、私も私らしい選択をしたと思っています。(千種さんが今伝えたいこと③へ続く)

千種 ゆり子
1988年、埼玉県生まれ。気象予報士、防災士。2013年に気象予報士の資格を取得。NHK青森を経て、テレビ朝日「スーパーJ チャンネル」(土日)や、TBS「THE TIME,」に気象キャスターとして出演。2022年に、26歳の時に難治性の不妊症である早発閉経(早発卵巣不全)と診断されたことを公表。婦人科受診の大切さを伝えるため、クラウドファンディングで制作する映画『わたしかもしれない(仮)』をプロデュース。

『結婚していない。けど、いつか子どもが欲しい人が今できること』では、妊活や不妊治療がリアルでないうちは、考えもしないような日常の些細な行動が、想像以上に卵子や卵巣を老化させてしまう……逆に、なんとなくやっていたことのおかげで意外と老化しなかった!という例などを多数紹介しています。卵子や卵巣の老化は、見た目の若さとは全く関係ありません。「え? あの人が?」という人が意外と卵巣年齢が高かったり、不妊ということもあります。今から気をつけてみてくださいね。