ジャニーさんの家に行くのは
独特の緊張感があった

――「ジャニーさんは家ではだいたい、電話していたり、新聞やテレビを見ていたり、僕らとしゃべったり。でも基本的には口数が少ない人なので、そこにいるだけという感じ」「寝るのも早かった。ベッドではなく、ソファで十時とか十一時には寝てしまう」「夜中に起き出して活動を始める」と書かれていました。ジャニー氏のマンションにいるときに、ジャニー氏がどのように過ごしていたのか、どんな会話をしていたのか教えてください。

 一緒にいる時は仕事の話が多かったですね。「今日の僕のライブはどうだった」などと聞くと、ジャニーさんから「最悪だったよ」と言われたりしました。ジャニーさんは厳しいので、基本的には褒めません。褒める時は、直接その人を褒めず、他の人にその人への褒め言葉を言う。誰かを面と向かって直接褒めないのは、調子に乗らせたくないという意識があったのかもしれません。

 ジャニーさんと話していると「若い頃はこの人怖かっただろうな」と思うことがありました。ズバっとものを言うストレートな性格なので。笑っていることが少なく、わりと短気で、いつもどこかイライラしていた印象もあります。自分で何かジョークを言って笑うことはあるけれど、ジャニーさんを人が笑わせるのは難しい。

 ですから、ジャニーさんの家に遊びに行くのは独特の緊張感もありました。しかし、結果的にはイライラしたジャニーさんを皆で放っておく空気になるのです。ジャニーさんが何か飲みたいと言えば運んでいくし、ソファで寝落ちしてエアコンの風で寒そうに震えていたら何かかけてあげる。いわゆる老人の扱いでした。

 ジャニーさんは、ずっと敬語で話す人はあんまり好きではありませんでした。かといって、最初からタメ口でズケズケ話すような礼儀のない人も嫌いでした。中身を見ているというか、計算してものを言う人は嫌いなのです。一方では、ある種のプロ意識や根性を持って「ジャニーさんを使ってやろう」と企むような人を好む側面もありました。だから、好き嫌いにもいろんなパターンがあったように思います。おそらく、本気な人が好きなのです。「俺のことだますなら本気でだませよ」みたいな。