オール阪神氏の秘策とは
「私の情熱を番組スタッフに伝えるためには、なにかお土産がないとあかんと考えたんです。それで、思い切ってハワイにカジキ釣りへ出かけました。釣りをしている様子を撮影して、それをお届けしようと。『そんなやる気あるんかいな』となりますよね。ほんだら、思った以上の見事なカジキが釣れたんです。それで、その映像をスタッフさんの元に持って行って、『司会者をやりたいんですけど』って言いましてね(笑)」
小松伸氏は、こうした阪神氏の熱意を印象深く覚えており、司会者に起用したきっかけについて教えてくれた。
「何度かゲストとして登場していた中で、ディレクターを通じてこの番組の司会をやりたいという意向は聞いていました。とはいえ、相手は人気のタレントさんですから、ギャラの問題もありますよね。でも、阪神さんは釣りが本当に好きな方なので、マネジャーさんに『あんまりギャラは高く言わんといて』と言ってくださっていたようです。それだけ考えてくれているなら、ということで89年から司会をお願いすることにしました」
阪神氏は、司会として番組に関わるようになり、特に感じたのが、番組スタッフの情熱だったという。細やかなリサーチに裏付けられた釣り場紹介や、ゲスト解説者として新たな釣り人を発掘するなど、より良い番組を作りたいという確固たる姿勢がひしひしと伝わってきたと阪神氏は言う。
「その熱い思いが、番組を続けていく上で大切だと思うんですよ。例えば、船に乗ってロケをしているので、いつも危険と隣り合わせなんです。でも、これまで一度も大きな事故はありません。それに、小さなかすり傷だったり釣り糸が引っ掛かったりするケガはあると思うんですが、誰もそんなことを口に出さない。やっぱり、ちょっとしたことでも『番組に迷惑をかけたくない』という思いになるんでしょうね。別に誰も『言うなよ』と強制はしてませんよ(笑)。それだけ番組を愛しているんやと思いますわ」