不況にあおられ窮地、阪神氏の一言が救いに
順風満帆にスタートした番組も、テレビ業界の不況にあおられ、苦境に立たされてしまう。スポンサーの数が減り、放送時間も30分に短縮するなど、番組の存続も危ぶまれた。このとき、大きな助けとなったのが、司会の阪神氏だった。番組プロデューサー5年目になる、井田和秀氏はその事情を教えてくれた。
「番組を存続する上で、いちばん頭を悩ませるのが予算と番組内容のバランスです。理想は、お金をかけずに面白いことをやるべきなんでしょうけど……難しいもんですよね(笑)。数カ月に一度、阪神さんがロケに出る企画は人気なのですが、番組予算と照らし合わせると、本当はお願いできないのが現状なんです。そこを、阪神さんは『休日に釣りをするときにカメラを回してもいいよ』と言っていただいています。休日に付いていく形を取っているので、ギャラに関しても考慮いただける。こういう思いが番組スタッフにも伝わると、『みんなでなんとかしていこう!』という気持ちが番組のパワーになっていくもんです」
こうした番組に対する愛着は、番組スタッフから関係者にも広がっている。番組が中心となり開催するイベントには、釣り団体の有志が集まり、70人ほどがボランティアスタッフとして協力した。
「そんな支えがあって、今やイベントは予約開始から早々に売り切れ。毎年、楽しみにしているファンの方も多く、小さなお子さんを釣れた家族連れの姿も多く見られます。番組の枠を越えたサポートがあるからこそ、こうしたファンの輪が広がっていると思いますね」(井田氏)
若い世代に向けた新しい番組づくりにも挑戦する
ファンの輪が広がる中で、新たな世代にも番組の魅力が届いているという。阪神氏があるエピソードを語ってくれた。
「この前、劇場に来ていた高校生に島田紳助さんを知っているかと聞いたら、誰も知らなかったんです。でも、私はうれしいことに、小さなお子さんからも声を掛けられるんです。たぶん、おじいちゃんがこの番組を見ている横で、お孫さんも一緒に見て、知ってくれているんでしょうね。でも、芸人じゃなくて釣り人のおっちゃんやと思ってるんでしょうけど(笑)」
まもなく、40年目の節目を迎えるに当たり、井田氏は若い世代にも楽しんでもらえる企画にも挑戦していきたいと話す。
「釣り好きつながりで、FUJIWARAの原西孝幸さんや、ロンドンブーツ1号2号の田村亮さんが番組に出演してくださいました。スケジュールの都合で実現できていない岡村隆史さんも、いつかゲストとして登場してほしいと願っています。そんな新しい風も、どんどん増やしていきたいと思っています」
こうした新しい動きに対し、阪神氏は「私も番組の魅力を次の世代に伝えていきたい」と語り、番組を存続させる秘策(?)を語ってくれた。
「あんまりこんなことを言うと関係者に叱られるかもしれませんが、もし番組にスポンサーが付かなくなったら、自分でお金を出しても続けたいと思うぐらいです(笑)。それぐらい、釣りもこの番組も愛しているんですよ」
阪神氏をはじめ、番組スタッフや関係者たちの強い愛情によって、世代を越え、新しい世代にも愛される番組になることができたのだろう。