すぐ「陰謀論」にハマってしまう人が知らない、意外なたった1つのこと「自分たちしか知らない真実」は、たいてい偽物。ここを理解していないと、簡単に陰謀論にハマってしまう(写真はイメージです) Photo:PIXTA

多くの人が、「よく考えなさい」「もっと頭を使って!」と言われたことがあると思います。しかし、そもそも「考える」とはどうすることなのか、本質や方法論は教えてもらっていない場合が多いのではないでしょうか。出口治明氏は、学生と教員の半数が海外からきている日本一グローバルな大学・立命館アジア太平洋大学(APU)の学長。このような多様性を肌で感じる場で、出口氏が実感しているのが思考力の大切さです。本記事では、「考える」とはどういうことか、新刊『働く君に伝えたい「考える」の始め方』をもとに、出口氏が語ります。

正しく知って、正しく考える

 なにかを考えるとき、何の情報もない、まっさらな状態から思考を組み立てることはできません。その対象、あるいは対象の周辺にある情報を「知る」必要があります。

 次の事業戦略を考えるのであれば、顧客アンケートを取ったり、他社のリサーチをしたり、現状の数字を用意したりする必要がある。世界平和について考えるなら、各国の歴史や価値観などを学ぶ必要があるでしょう。

「思う」や「悩む」との違いは、この「知る」プロセスが必要かどうかにあります。

 そしてその知識のかたまりを、論理的に、飛躍させずに組み立てていくのです。

 つまり、はじめに仕入れる知識が誤ったものであれば、どれだけ考えを組み立てようとしても正解にはたどりつけません。

 正しく知ってこそ、正しく考えることができる。これが原則なのです。