ではなぜ会話に発展しにくいのか?それは相手の「関心度の差」です。台風などの特別な気象なら別ですが、たいていの人は穏やかな天候などには関心を持ちません。関心のないことについてしゃべろうとも思わないのです。話題を振っても「そうですね」で終わってしまうのは、相手に関心がない証拠です。

 また、天気というのは、広範囲の話題になります。関東エリアが晴れだったら、関東のどこへ行っても「晴れ」の話題になってしまいます。つまり話題のエリアが広すぎるのです。

 それよりも相手の身近にあるものを話題にしたほうが、関心度が高いので“相手にとって話しやすい”ことになるのです。

相手の周辺について話題にしよう

 たとえば、駅からの道のりなどは、その人にとって日常で身近な光景です。できる営業マンはそれを見逃しません。駅からお客さまのところへ向かう途中の建物や風景などをチェックしています。

 そしてこんなふうに切り出します。

書影『トップセールスが絶対言わない営業の言葉』(日本実業出版社)『トップセールスが絶対言わない営業の言葉』(日本実業出版社)
渡瀬謙 著

「ここに来る途中で人が行列をつくっているラーメン屋がありましたけど、有名なんですか?」
「駅を降りてすぐのところに、懐かしい駄菓子屋があるんですね。つい寄りたくなりました」

 相手がよく使っていると思われる道で見つけた話題なので、知っている可能性があるはず。知っていることなら話しやすいのは当然です。

「あそこは昔から有名なんですよ。味噌ラーメンがお勧めです!」
「あの駄菓子屋は私もつい寄りたくなりますよ(笑)」

 こんな感じで答えてくれやすくなるでしょう。そうなればそのあとの会話も続けやすくなるはずです。たとえ口ベタだとしても、相手の周辺情報を観察してそれを話題にする雑談なら、比較的容易にできます。

 私がトップセールスの先輩に教わったのは、まさにこの雑談でした。それ以来、私は最初から話題につまることもなくなり、スムーズに商談につなげることができるようになったのです。

 さらに、ルートセールスなど定期的に会う相手に対しても、天気の話題ばかりでは芸がありません。常に新鮮な話題を心がけるようにしましょう。

 あなたがいつも雑談で困っているとしたら、ぜひやってみてください。