「良いモノをつくったのに、思うように売れない」。そう頭を抱える経営者は少なくありません。モノを売るには「セールス3段階理論」を念頭におく必要があります。訪問販売の現場で鍛えたカリスマ営業マンが教える、対面でもネットでも通用する販売の極意とは?本稿は、橋谷義仁『SALES&MARKETINBG ネットでもリアルでも圧倒的な結果を出すセールスの極意』(幻冬舎メディアコンサルティング)の一部を抜粋・編集したものです。
「売るための基本」となる
3段階のコミュニケーション
訪問販売のなかで私が得た「売るための基本」に、相手とのコミュニケーションを3段階で考えるということがあります。それは、「アプローチ」「デモンストレーション」「クロージング」です。
この3段階はそれぞれまったく目的が違うものであり、混同してはいけません。今自分がどの段階にいるのか、それを常に意識してその段階ならではの目的を達成することを考えていくことが必要です。デモンストレーションをしているのにクロージングに関わることを持ち出したり、クロージングの段階なのにアプローチに関わる話をしているようだったら、そのセールスは絶対にうまくいかないのです。もしうまくいかない段階に遭遇したら、そこをあれこれ考えたりいじる前に、1つ前の段階を反省したほうがいい場合も少なくありません。
それぞれの段階で達成すべき目的があり、それぞれにふさわしい振る舞いやトークがあります。しかし同時に、3つの段階が別々の孤立したもの、あるいは閉じたものではないことも明らかです。うまくいったアプローチはデモンストレーションに自然につながり、うまくできたデモンストレーションは、やはり自然にクロージングに進むものだと思います。
3段階は独立していると同時に、次の段階へのスムーズなつながりを含んでいなければならないのです。クロージングのテクニックだけ磨いても、いきなりその場面が訪れるわけではありません。アプローチがあり、それがデモンストレーションにうまくつながり、さらに巧みなデモンストレーションがごく自然にクロージングの場面へとつながっていくのです。この3段階は、それぞれで目標が異なるのでトーク内容や話し方も変わります。
アプローチは訪問して着席してからのちょっとした雑談(アイスブレイク)、その後の自社紹介・自己紹介とこれから何をするのかという概要説明、そして商品紹介です。
この段階で必要なことは、まず相手の警戒心を解いて、顧客にあなたの話を聞いて理解するように努めましょうという気持ちになってもらうことです。その後のコミュニケーションの前提となる最低限の信頼関係をつくることといえます。
その意味では、第一印象を左右する身だしなみや清潔感、靴や靴下が汚れていないかといった会話以外の要素もアプローチにおいて重要です。セールスというとトーク内容のことと考えられがちですが、顧客に与える印象の良し悪しもアプローチの重要な要素です。ただ明るく元気よくすればいいという単純な話ではありません。