「福岡に帰省して食べるのが楽しみだったのに……」
資さんうどんがECサイトを始めた理由
実店舗の出店拡大と並行し、資さんうどんは2020年4月、急ピッチでECサイト「資さんストア」を立ち上げた。きっかけは、ゴールデンウイークを前に新型コロナ感染拡大による初の緊急事態宣言が出されたことだった。
「SNSでは、『福岡に帰って資さんうどんを食べるのが楽しみだったのに』という声があふれていました。資さんうどんを愛してくれているお客さまは全国にいらっしゃる。ならば、お応えすべきじゃないかと。ECサイト開設後は、定期的に注文してくださるお客さまもたくさんいます」(佐藤さん)
岡山や大阪での期間限定出店にいきなり行列ができたのも、ECサイトの存在が大きい。
「ECサイトで購入履歴のある岡山市・大阪市の皆さんにメールで告知しました。当日は、『いつも通販で買ってます』『待ってました!』と声をかけていただき、本当にうれしかったです。オンラインでのお客さまとの繋がりは、リアルにも生きてくるのだと実感し、勇気づけられました」(佐藤さん)
大手ECサイトでの通販にも力を入れている。
「以前は、Amazonで『資さんうどん』と検索すると大手メーカーのうどんの広告が出ていました。これは、資さんうどんの名で他のうどんが売れているということ。すごくもったいないし、悔しい。そこで、お客さまの手の届きやすいところにも窓口を用意しました」(佐藤さん)
LINE友だちは1年で36万人超
初のファンミーティングも
2022年9月には、LINE公式アカウントの運用を開始した。友だち登録数は1年で36万人超。なぜ急速に友だちを増やすことができたのだろうか。
資さんうどんでは、店内のデジタルサイネージやPOP、伝票、さらにレジでの声がけでLINE公式アカウントを周知。友だち登録をしてくれた顧客にはLINEでクーポンを配布するなどリピートを促している。セオリー通りではあるが、もともとヘビーユーザーが多いことも相まって、より効果的に作用しているようだ。
2023年7月には、初のファンミーティングを実施。友だち登録時のアンケートで「北九州エリアの店舗」を「週1回以上来店している」と答えた数千人の顧客の中から抽選で16人が招待された。
「ファンミーティングの目的は、コアなお客さまが何を望んでいるか知ることです。これまでもSNSやお客さまカードで知る努力をしてきましたが、生の声を聞く機会はなかなかありませんでした。店への要望や新メニューのアイデアなど、ざっくばらんに話すことができました」(佐藤さん)
ファンミーティングについてX(旧Twitter)に投稿するファンのポスト 拡大画像表示
社内では今、ここで得た気づきをもとに次の施策を準備中だ。値引きやクーポンだけでなく、”特別な体験”など、さまざまなアイデアが出ているという。