2010年北九州から福岡市へ
しかし、北九州のうどんは博多でウケない?

資さん 代表取締役社長 佐藤崇史さんと業務改革推進本部長の伊藤英記さん資さん 代表取締役社長 佐藤崇史さん(左)と業務改革推進本部長の伊藤英記さん(右) Photo by Mayumi Sakai

 2010年には、北九州を飛び出し、福岡市に出店した。始めこそメディアが「北九州からの大勝負」「うどん三国志が始まった」とセンセーショナルに報じて行列ができたものの、客の反応は、普段食べている博多のうどんと比べて「味が濃すぎる」「麺が硬すぎる」というもの。「博多に合わせて、あっさりした味に変えませんか」と大西さんに直談判する社員もいたという。

 だが大西さんは、北九州で愛されてきた味を見直そうとはしなかった。3年後には、話題になった当初の売り上げに届くようになったという。顧客起点で進化しながら、顧客が愛する味は何があろうと守り抜く――それが、資さんうどんのDNAだ。

8月に岡山、11月に関西へ進出
九州の「資さん」から、日本の「資さん」へ

 2023年8月の岡山(岡山市・岡山大元店)、11月の関西進出(大阪市・今福鶴見店)を皮切りに、資さんうどんは「九州の資さん」から「日本の資さん」を目指す。2018年に社長に就任した佐藤崇史さんは、「資さんうどんを知らない地域に飛び込んでいく、非常に大きな挑戦」と意気込む。

社長の佐藤さん社長の佐藤さんも、以前は資さんうどんの一ファンだったという Photo by M.S.

「まずはお客さまに一度召し上がっていただくこと。その機会をどう作り出せるかが勝負です。『ここ、おいしいんだよ』『一緒に行こう』の輪をどれだけ広げられるか、試行錯誤しています。意識しているのは、膨張ではなく真の成長。お客さまへの提供価値を最大化し、中身の濃いまま成長していきたいです」(佐藤さん)

 新規出店に先立ち、天満屋 岡山本店で行われた期間限定出店には、1週間で1600人が来店。阪神・梅田本店での期間限定出店では、2週間で7000人以上が来店し、最大2時間待ちも記録した。さらに、関西進出に向けたXアカウント「やっぱ資やねん」には、「関西に媚びず寄せず、いつも通りの『ザ・資さん』でやってほしい」「福岡の方がこぞっておいしいという資さんうどん! めちゃくちゃ気になってたので関西進出嬉しい!」と、多くの期待が寄せられている。ここでも九州からのファンが強力な味方のようだ。