自社アプリも展開中で、一部店舗ではモバイルオーダーやテイクアウトの事前予約を受け付けている。近日に全店展開する計画だ。LINEと違って自社でアプリを開発するのは難易度が高い。それでも挑戦するのはコアなファンを大切にしたいから。自社アプリで常連向けにコアな情報や便利機能を提供し、LINEで新規・一般顧客にも気軽に使ってもらえるようにしたいという。

データ活用も加速、九州のホームセンター
「グッデイ」から生まれたDXチームが伴走

 変わったのは顧客向けのサービスだけではない。社内でもデータ分析基盤を刷新し、Tableau(データ分析ツール)の活用をスタートした。以前の資さんうどんは、日々の売り上げ状況把握のため、各店舗のPOSシステムからデータを取得し、Excelで集計・分析していた。しかし、集計作業に毎日数時間を要するうえ、ECサイトの売り上げや店舗のワークシフトなど、他のデータを組み合わせた分析は不十分だった。

「ブラックボックス化したExcelマクロの扱いにも苦慮していました。新メニュー開発のために過去のデータを分析したくとも、時間がかかりすぎて諦めざるを得ない。不確実性の高い時代、十分なデータ分析もできないまま意思決定しなければならないことに、限界を感じていました」(佐藤さん)

 加えて、24時間営業の資さんうどんは、データ集約のタイミングやエラーデータの処理に課題を抱えていた。エラーを残したまま処理すれば、会計に齟齬(そご)が生じる。バラバラに散らばった各種データベースを統合し、時代に即した設計に変える必要があった。

 伴走したのは、DX成功企業として知られる九州のホームセンター「グッデイ」から生まれたDX支援企業「カホエンタープライズ」だ。目指すはデータ活用の民主化。社内の誰もが必要なデータにアクセス・分析し、業務に生かせる世界だ。グッデイの社内勉強会「グッデイデータアカデミー」にならい、資さんうどんも現場や経営陣を交えたTableau活用トレーニングを複数回実施した。

「カホエンタープライズと組んで良かったのは、彼らも数年前に同じ苦労をし、試行錯誤してきた経験が引き出しになっていること。『こんな問題が起きるはずだから先につぶしておこう』といった助言一つ一つがぴたりとハマり、失敗を避けられました。この1年で多くの社員がTableauに触れ、より解像度が上がりました。今後はTableauのダッシュボードを使ってKPIをリアルタイムに可視化し、店長をはじめ現場が自ら活用できるようにしていきたいです」(佐藤さん)