Google Workspaceで
社内コミュニケーション基盤をアップデート
カホエンタープライズの助言はこれだけではなかった。実はデータ分析基盤の前に、社内コミュニケーション基盤を見直したのだ。以前の資さんうどんは、共通のスケジュール管理表がなく、至る所で行き違いが生じていた。それはかつてのグッデイも同じ。まずはその状態を解消しなければ、事は進まないと判断したのだ。
2021年には、グッデイと同じGoogle Workspaceを導入した。スケジューラーに加え、メールやオンライン会議ツールなどが統合されたGoogle Workspaceを選んだのは、さまざまなツールを個別に導入するよりコストが抑えられ、運用負荷も下がるからだ。組織拡大を見据え、柔軟性の高いクラウドサービスであることも決め手となった。
現場を苦しめるDXであってはならない
「半歩先のDX」を大切に
店舗のIT環境も大きく変わった。ネコ型配膳ロボット「資にゃん」が下膳をサポートする他、タッチパネルでの注文に移行したことで従業員の労働時間を大幅に削減。接客の質向上につながっているという。
業務改革推進本部長の伊藤英記さんは、さらなる負荷軽減のため、AI自動発注システムを開発中だと明かす。数年前にも検討したが、当時はAIの精度が低すぎて断念。AIの実力が伴ってきた今、ようやく現実味を帯びてきた。
「AI自動発注とはいえ、人による確認フェーズも設ける予定です。AIが発注担当者の癖も学習してしまうので。他にもたくさん問題が出てくると思いますが、一つ一つ改善しながら進めていきたいです」(伊藤さん)
一方で、社員のITリテラシーには当然幅があり、丁寧に進めたいと考えている。
「意識しているのは『半歩先のDX』。チャレンジなくして進化はできませんが、以前のAI自動発注のように、まだ使いにくい技術を無理に導入して現場の負担が増えれば、お客さまに迷惑をかけてしまいます。お客さまに喜んでいただくことが大前提なので、それを失わないDXでなければなりません。ただ、引き出しは増やしたい。ChatGPTも研究中です。『今だ!』となればすぐ引き出せるように準備しておきたいです」(佐藤さん)