尾林弘太郎プロ 緊張をほぐす方法として、プロたちが行っているのは自分の緊張を実況中継することです。例えば、「尾林、手が震えています。ドキドキしています」と小さく声に出して言うわけです。この方法は自分を客観視することになるので、緊張しているのは自分でなく他人のようになって、自分の緊張がほぐれるのです。
また、緊張は戦闘態勢に入ったと解釈するのもいいです。プレーする準備ができたと考えるわけです。そして、目標を見つめ、「絶対に上手く打てる」と自分に言い聞かせるのです。そうすると迷いが消えて目標だけに集中できる。結果、成功する確率が増えます。仮に失敗しても、次のショットのときにまた同じように「必ず上手く打てる」と言い聞かせる。
そのうち緊張が消え、本当に上手く打てるようになります。ジャック・ニクラウスは「失敗を恐れないでは弱い。必ず成功させるのだという強い意志を持つこと」と言っています。
朝イチのティショットで
緊張しない方法
生徒 ゴルフを始めた頃、朝イチのティショットでメチャクチャ緊張して、右にOBがあれば大スライスしてOBを打ち、左が崖なら引っかけて大トラブルといったことが多かったんです。そこで恥ずかしくてもいいやと、朝イチは上手く打てる7番アイアンを使っていたときがあります。好きなクラブでスタートして、さらっとボギーオンして2パットボギーであがる。それができたときに一歩上達したかなと思いました。
生徒 朝イチのティショットは緊張しますが、上手く打てる自分のチェックポイントを実行するようにしています。打つ前に上手く打てるかは考えない。上手く打てると信じてスイングしています。結果、ほとんどナイスショットになります。
尾林プロ 上手く打てる自分の拠り所をもつのは、大変によいことですよね。スイングの注意点でもいいし、それがおまじないであってもいいです。要は高望みをしないこと。
朝イチのショットへの緊張をなくすには、自分のプレショットルーティンに従ってショットすることです。例えば次のような打つ前のルーティンです。
「ボールの後ろから目標を見て、そこで本気の素振りをする。アドレスに入り、目標を見て、ワッグルを行って、そのままバックスイングをスタートする」