超ミニマル・ライフとは、「どうでもいいことに注ぐ労力・お金・時間を最小化して、あなたの可能性を最大化する」ための合理的な人生戦略のこと。四角大輔さんの新刊『超ミニマル・ライフ』では、「Live Small, Dream Big──贅沢やムダを省いて超効率化して得る、時間・エネルギー・資金を人生の夢に投資する」ための全技法が書かれてあります。本書より、「お金に投資するよりも効率的な投資方法」についてご紹介します。
「人生は一度だけ、授かったその性能を最大化したい」
「体は授かりもので、その性能は自分では選べない」
「人生は一度だけ、授かったその性能を最大化したい」
常にそう考え、体のパフォーマンスを最高値まで高めるべく、さまざまな健康マネジメントを実践してきた──会社員時代は、周りから「健康オタク」とからかわれるほどに。
理解されていない正しい健康の定義
世界保健機関(WHO)は「健康」を以下のように定義する。
「健康とは、身体的、精神的、社会的に“完全に良好な状態”を意味し、単に“病気がない状態”ではない──Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity」
この原文にある「ウェルビーイング/well-being」や、「ウェルネス/wellness」という言葉を、この10年で頻繁(ひんぱん)に目にするようになった。
共に英単語としては古くからあるが、日本では、現代を生き抜くためのキーワードとして注目されるようになってきた。
『大辞林』(三省堂)を見てみよう。
「ウェルビーイング」とは「健康で幸福な状態。良好な状態。満足の行く状態」とある。
「ウェルネス」とは、「健康を肉体面だけでとらえるのではなく、生活全体を積極的・創造的なものにして、健康を維持・増進させようとする生活活動」とある。
「ウェルネス」は、正しい生活習慣のことで、その結果得られる理想的な状態が「ウェルビーイング」だと解釈できる。これらもやはり、「心と体」の両方の重要性を教えてくれる。
「ウェルビーイング」や「ウェルネス」という概念が浸透するきっかけをつくったのは、シリコンバレー
興味深いことに、「ウェルビーイング」や「ウェルネス」という概念がビジネスで重要視されたり、社会に浸透するきっかけをつくったのはシリコンバレーである。
最高峰の「仕事効率化スキル」を持つIT界のパイオニアたちが、さらなる高みを求めて行き着いた解答が「ウェルネスこそが社員のパフォーマンスを最大化する」「社員全体のウェルビーイングが高まると会社の利益体質が改善する」だった。
テック企業には──社員にヘルシーなランチを無償提供、スポーツジム完備の社屋、遊び心あふれるオフィス空間、パワーナップ(昼寝)用のカプセル完備、マインドフルネス瞑想(めいそう)の研修──など多くの逸話があるが、そこには「生産性と売り上げ向上のため」という合理的な狙いがあったのだ。
体が先か、心が先か
さて、体と心の両方を整えるべきだということは理解できたと思うが、ここで1つの疑問が浮上する。
「体と心──どっちを先に整えるべきか」という問いだ。
これには迷わず即答できる。「体が先」だと。
心を整える方法は、どれも抽象度が高く、難解な心理学や神経科学の領域に踏み込まないといけない。さらに心療内科の医師、臨床心理士、カウンセラーといった専門家のサポートが必要なケースが多々ある。
そして、これらにお金と時間を費やしても、なかなか結果につながらないことが多い。
それに対し、体を整えるメソッドは具体的かつ明快で、「栄養学」「生理学」「生体学」といった基礎科学によって的確な裏づけがなされている。
そのための手法は確立されていて、個人で実践できてお金もかからない。しかも、継続すれば必ず成果を可視化できる。
先に体を整えて、その健康状態を維持していると、自動的にメンタルヘルスが安定するようになっていく。
例えば、最新の脳科学では、次のような驚くべき事実がわかっている。運動を継続することで「記憶力・学力・創造性・集中力・モチベーション・認知機能」を高め、ストレス解消になるだけでなく、うつ病にも確実な効果があるという(※1)。
肉体をデバイスだと考えてみる
筆者は、脳と体を合わせた肉体を「オーガニックデバイス」と呼び、メンテナンスとアップグレードに尽力してきた。
肉体とは、100%地球由来の成分で構成された有機(オーガニック)体であり、生きる上での最重要デバイス。だから何よりも大切にしてきた。
現代人は誰もが快適に暮らし、効率的に働くために「デジタルデバイス」を活用しているだろう。だが、それらの道具をどんなに活用できても限界がある。
それを使う側、つまり「主」であるオーガニックデバイスのパフォーマンスが低ければ意味がないからだ。
デバイスや家電、アプリやウェブサービスの進化は止まず、遂には誰でも使える超高性能の対話型AIまで登場。これらのテクノロジーを駆使することで、あらゆる作業が劇的に効率化し、クオリティも高まった。