今回は、結果を出せる人は、何時に寝て何時に起きているのか?、ベストな睡眠時間についてお伝えします。
レコード会社の社員時代はプロデューサーとして、ミリオンヒットを10回記録するなどトレンドを牽引し、絶調期にニュージーランドに移住。その後、12年かけてリモートワーク術を構築してきた四角大輔氏。彼のベストセラー『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』は、次世代のミニマリストのバイブルにもなった。
この連載では、四角氏のあたらしい著書『超ミニマル主義』の中から、「仕事術」「ワークスペース」「働き方」「スケジュールとタスク」「デバイスと情報」「思考と習慣」……etc を「手放し、効率化し、超集中する」ための【全技法】を紹介していきます。

【ベストの睡眠時間は?】結果を出せる人は、何時に寝て何時に起きているのか?Photo: Adobe Stock

「毎日同じ時間に寝る習慣」を身につける

 1日の計画は、「その日の就寝時間」から逆算式で組み立てるといい。では、何時に寝るのが理想なのか。

 定時が決まっているなら、「毎日同じ時間に寝る習慣」を身につけること(※1)。そうすれば、毎夜のリカバリータイムが最適化され、疲労感ゼロで朝を迎えられるようになる。

 そして、「毎日同じ長さの、充分な睡眠時間」を確保することが重要となる。では、何時間眠ればいいのか。

世界の長寿の人たちの平均睡眠が7時間、
死亡率が一番低いのが6時間半~7時間半

 7時間前後を境に、長くても短くても生活習慣病の罹患率が高まると複数の研究が示している(※2)。

「長くてもダメなのか」と驚かれたかもしれないが、ダラダラと寝過ぎて「体がダルい。頭がボーッとする」という経験は誰もがしているはず。

 だがやはり、短い方がダメージは大きい。ある研究では、6時間睡眠を2週間続けた人たちは、2日徹夜したのと同レベルの認知障害をきたし―恐ろしいことに「その著しいパフォーマンス低下と疲労を自覚できなかった」というのだ(※3)。

 なお、世界の長寿の人たちの平均睡眠が7時間、死亡率が一番低いのが6時間半~7時間半(※1)、AmazonのCEOジェフ・ペゾスなど多くの有名CEOは約8時間寝ている(※4)。

 スタンフォード大学教授で睡眠学の権威、西野精治氏によると「指標として7時間程度を目安にするのがいい」とのこと。

就寝シフトを守るための「逆算式プランニング術」

 日本の平均通勤時間は片道約40分(※5)だが、次の理由から、通勤時間を「1時間」とし、一般的な「8時~17時」勤務の例で説明していく。

 通勤時間とは一般的に、「家の玄関を出てから会社着まで」とされる。だが実は、「①靴を履いて鍵を閉める時間」と「②会社の入口から席に座るまでの時間」が意外にある。自転車や車通勤の人は、ハンドルを握って動きはじめるまでが①に含まれ、会社の駐車(輪)場から席に座るまでが②となる。

 ①②を合わせて「10~20分」で計算し、それを通勤時間に加えるだけで、朝の慌ただしさがなくなる。ぼくもある時期まで、①②の計算が抜け落ちていて、約束の時間に「間一髪アウト!」をよくやっていた。

 8時の始業に間に合うべく、7時に自宅を出るためには、起床時間は何時になるか。多くの人が「ざっくり1時間前」にしがちだが、それだと余白がなくなりバタバタしてしまう。

 理由はあらためて解説するが―本連載の提案は「リラックスの1時間+朝のルーティン30分=計1時間半」なので、5時半起床とする。前述の西野教授の指標「7時間程度の睡眠」を採用するならば、遅くとも22時半には入眠したい。

 そして、遅くとも眠る1時間前には、日中の仕事で「交感神経」が高まって緊張状態にある自律神経を、リラックスモードである「副交感神経」にシフトする必要がある。

 夜の明るい照明は交感神経を刺激するため、「消灯時間」を決めて、21時半までには部屋の照明を落とすこと。男性は30歳、女性は40歳以上になると、加齢によって交感神経が優位になりがちだと知っておいてほしい(※6)。

 当然、キャンドルや間接照明で過ごす穏やな時間は、極上のセルフケアタイムとなる。「毎晩キャンドルタイムを過ごす」。そう考えるだけで、幸せな気持ちにならないだろうか。

※1 西野精治『大学教授が教える 熟睡の習慣』PHP新書(2019)
※2 三島和夫「長く眠ると健康に悪い? 死亡率と睡眠の意外な関係」National Geographic日本版(2019)
※3 Hans P.A. Van Dongen, Greg Maislin, Janet M. Mullington, David F. Dinges(2003) “The cumulative cost of additional wakefulness” Sleep,26(2): 117-126.
※4 Arianna Huffington「短時間睡眠は時代遅れ 名だたるCEOが8時間宣言」日経スタイル(2016)
※5 総務省統計局「平成28年社会生活基本調査―生活時間に関する結果」
※6 順天堂大学小林弘幸『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』サンマーク出版(2011)

『超ミニマル主義』では、「手放し、効率化し、超集中」するための全技法を紹介しています。ぜひチェックしてみてください。

(本原稿は、四角大輔著『超ミニマル主義』から一部抜粋したものです)

【ベストの睡眠時間は?】結果を出せる人は、何時に寝て何時に起きているのか?四角大輔(よすみ・だいすけ)
執筆家・環境保護アンバサダー
1970年、大阪の外れで生まれ、自然児として育つ。91年、獨協大学英語科入学後、バックパッキング登山とバンライフの虜になる。95年、ひどい赤面症のままソニーミュージック入社。社会性も音楽知識もないダメ営業マンから、異端のプロデューサーになり、削ぎ落とす技法でミリオンヒット10回を記録。2010年、すべてをリセットしてニュージーランドに移住し、湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営む。年の数ヵ月を移動生活に費やし、65ヵ国を訪れる。19年、約10年ぶりのリセットを敢行。CO2排出を省みて移動生活を中断。会社役員、プロデュース、連載など仕事の大半を手放し、自著の執筆、環境活動に専念する。21年、第一子誕生を受けて、ミニマル仕事術をさらに極め――週3日・午前中だけ働く――育児のための超時短ワークスタイルを実践。著書に、『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』(サンクチュアリ出版)、『人生やらなくていいリスト』(講談社)、『モバイルボヘミアン』(本田直之氏と共著、ライツ社)、『バックパッキング登山入門』(エイ出版社)など。