「オーガニック」と「デジタル」両方のデバイスを正しく運用

 しかし、「いい時代になった」と安心してはいけない。恩恵を与えてくれるはずのテクノロジーが、TO DOリストや人とのコミュニケーション量を爆発的に増やしているからだ。

 そうやって急増したタスクや、他人とのアポを半減させるためには、高い集中力と確かな判断力を維持する必要がある。そのために、自身のオーガニックデバイスのパフォーマンスを高めるのだ。

 もし、あなたが「能力を最大化したオーガニックデバイス×高性能のデジタルデバイス」という組み合わせを手にできれば、家事や仕事の生産性は著しく高まり、異次元レベルの時短が可能になると約束しよう。

 勤続年数が延び続ける現代のビジネスシーンでは──より長期にわたる成果が求められるため──オーガニックデバイスをいいコンディションで維持できる人と、そうでない人の間に大きな所得格差が生じつつある。

 筆者が知る限り、本質的に豊かな暮らしを営んでいたり、上質な仕事で社会に貢献し続ける人は、確実に「オーガニック」と「デジタル」両方のデバイスを正しく運用している

取り替えがきかない肉体への投資

 デジタルデバイスは壊れれば買い直すことができるし、パフォーマンスが低下すればOSをアップデートしたり修理したり、または新機種に買い替えればいい。

 だが、あなたのオーガニックデバイスは唯一無二で、買い替え不可の「最重要資産」であることを忘れないでほしい。

 壊れないよう大切にメンテナンスし続け、最高性能を維持できるよう、しっかり資産管理をしよう。

 そして、あなたの「オーガニックデバイス」への投資は、大胆に行うこと。人生における最初にして最大の投資先は、株や不動産ではなく「あなた自身」だ。

 この投資は安全確実で、一切のデメリットがない。少額から投資可能な上に、将来的なリターンは10倍どころか数千倍になる可能性だってある。しかも、元本保証で「ノーリスク・ハイリターン」というありえない超優良な投資案件。

 その投資のスタートは早い方がいいが、何歳になっても──たとえ高齢でも──遅すぎることはない。これも大きな利点だ。

 筆者はお金の勉強をして金融投資や不動産投資も行ってきたが、これほど割のいい投資は他に知らない。「健康オタク」と揶揄(やゆ)され続けた筆者は、人生を懸けて自身のオーガニックデバイスに出資し続けてきた長期投資家とも言えるだろう。

 そして、ウェルビーイングを追求する意欲は、ニュージーランドに移住してからさらに加速。「母の5つの教え」(前回お伝えした、①ちゃんと食べる②ちゃんと体を動かす③ちゃんと休む④ちゃんと寝る⑤思いっきり遊ぶ)をほぼ完璧に実践し、我がオーガニックデバイスをよりいい状態で保つべく、ここで森の生活を送りながら仕事に従事している。

 誰もが「幸せに生きたい」と願う。だが多くの人が、幸せの鍵は体にあることを忘れてしまっている。

 その真理を思い出せば、誰もが「自分の体をもっと大切にしたい」と凛とした気持ちになるはず。

 これからも、このオーガニックデバイスを授けてくれた母と大地に感謝しながら使用期限(寿命)の直前まで、その性能を高めるべく努力していこう。

「肉体は一つの大いなる知性である」

 ドイツの哲学者ニーチェの名言で締めくくりたいと思う。

(本記事は、『超ミニマル・ライフ』より、一部を抜粋・編集したものです)

【参考文献】
※1 アンデシュ・ハンセン『運動脳』サンマーク出版(2022)