「ドコモショップ」でマネー相談も?
ネット苦手に心強いリアル店舗

 もう一つの商店型戦略はマネックス証券だ。沿革を見ると、1999年には現名称でオンライン証券業務をスタート。業界の老舗と言ってよいのだが、いつしかSBIと楽天に大きく水をあけられてしまった。

 2022年2月からはマネックスカードによる投信積立サービスを開始、その還元率は積立金額の最大1.1%と、年会費が実質無料のカード(年会費550円だが、投信積立を含む年間1回以上の利用があれば無料)としては他社よりも高い。そこまで頑張ったのだが、期待したほどの効果は出ていなかったと思われる。

 なお、マネックスが業務提携していた新生銀行はSBIグループに入り、2023年からSBI新生銀行と名前も変わった。グループにSBI証券がある以上、今後は距離を置かれていくだろう。老舗ながら苦闘を続けていたマネックスは「ドコモ」の看板の下に入ることで、生き残りを図る。

 約 2160 店舗のドコモショップ、かつ「d ポイントクラブ」会員約 9600 万人が、ドコモ側のアピールポイントだ。今後の展開の中心に据えるのは「d 払い」アプリ。アプリを軸に、d ポイントやd カード(クレジットカード)等のサービスとマネックス証券の連携を強化し、取引・残高や口座開設に応じたポイント還元やd カードによる積立投資も検討するとある。先に書いたマネックスカードは、そのうちdカードに取って代わられそうな勢いだ。

 とはいえ、マネックスにとってありがたいのは、ドコモショップというリアルのタッチポイントを得られることだろう。ドコモユーザーは他のキャリアより年齢層が高い。わからないことはネットより人に聞きたい世代のため、商店街のショップに入るとシニア層の姿が目立つ。

 シニア向けのスマホ教室も実施しており、今後はスマホ契約のついでに資産相談ができるコーナーをドコモショップ内に作ることもあり得る。スマホを契約し、カードを作り、アプリで証券口座を開く。こちらは「ドコモ商店戦略」とでも言っておこう。

 ただし、対面型ならではのデメリットも。そこに人件費が発生するので、コストがどこかに乗ってくるもの。利用する金融商品の手数料がそのぶん高くなる可能性はある。サービスはゼロ円ですという時代ではないのだ。