家計資産を貯蓄から投資へ振り向けるべく、岸田内閣が掲げる「資産所得倍増プラン」で2024年1月から資産形成の税制優遇制度が大きく変わる。マイクロソフトやグーグルでエンジニアとして活躍し、複数の企業で技術顧問を務める及川卓也氏は「投資で“社会人力”を培うことができる」と語る。及川氏が、個人が投資をすることで得られる資産以外のメリットについて解説する。
「資産所得倍増元年」で進む
貯蓄から投資へのシフト
岸田政権は今年を「資産所得倍増元年」と位置付け、貯蓄から投資へのシフトを進めようとしています。日本の家計の金融資産は現金・預金の割合が多く、株式と投資信託の割合は合計でも15.4%と少ないのですが、米国ではこれが半数を超えています。
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政府が打ち出したのは、NISAの拡充やiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入可能年齢引き上げなどの施策です。個人の資産形成という点でも、家計から企業への投資にお金が向かうことによる経済や金融市場の活性化という点でも、意味があると私は考えています。
とはいえ、投資にはリスクもついて回ります。私も投資で失敗した経験があります。それでもなお、「社会人は投資を手がけるべき」と私は考えています。その理由を説明していきましょう。
失敗を重ねても私が
投資を続ける3つの理由
失敗を重ねながらも私が投資を続けている理由の1つは、経済的な自由を得るためです。最近、人生の早い段階で資産を形成して働かなくてもよい状態をつくる「FIRE(Finance Independent Retire Early)」と呼ばれる生き方が話題になっています。このうちの「リタイア・アーリー(早期引退)」については私自身はあまり興味がないのですが、「ファイナンス・インディペンデント」の方は、非常に重要だと考えています。