大流行「おぱんちゅうさぎ」は
「不憫かわいい」の代表例

「不憫かわいい」の代表例が、最近人気が爆発している「おぱんちゅうさぎ」というキャラクターだと筆者は考えます。イラストレーターの「可哀想に!」さんが描く、常にパンツ一丁で涙目のウサギのキャラで、企業のテレビCMなどにも起用されているのですが、読者の皆さんはご存じでしょうか。

孫娘が「認知症の祖母」をいじる動画がTikTokで大ウケ、“韓流”の次のZ世代ブームが何か変だコンビニ大手・ローソンで販売されている「おぱんちゅうさぎ」グッズ。さまざまな店舗やブランドとコラボしている (c)KAWAISOUNI!(出典:ニュースリリース
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「頑張り屋さんだけど、どうにも報われない。毎日泣いちゃいそうだけど、元気に生きている」という設定になっていて、これまで述べてきたインフルエンサーの動画とも「不憫」である点が共通しています。

 目下、このキャラのLINEスタンプやグッズも大ヒットしており、公式アカウントのX(旧Twitter)のフォロワーは約78万人、Instagramのフォロワーは約39万人に上ります。公式SNSでは「おぱんちゅうさぎが自分を犠牲にして友達を助ける」といった、ちょっと切なくなるマンガも掲載されています。

 このキャラが人気になったのも、「不憫さ」を「かわいい」と捉える若者の感性にうまく刺さったからではないでしょうか。おぱんちゅうさぎのようなキャラの台頭は、一昔前には考えられませんでした。

 今の世の中では、頑張ってもなかなか報われないのが現実です。だから今の若者は、単にかわいくて癒やされるだけのキャラや、「努力して強くなってラスボスを倒す」といった少年マンガ的なキャラには感情移入できないのかもしれません。

 SNSや動画サイトに関しても、おしゃれな服装や高級料理など、キラキラと輝く日常を投稿している人(お金のにおいのする人)を応援できなくなり、その反動として「頑張っても報われない」「ちょっとかわいそう」といった“不憫系コンテンツ”を視聴するようになったのかもしれません。

 こうした仮説をさらに裏付けるべく、筆者は今後も「不憫かわいい」キャラやコンテンツの動向を継続的にウオッチしていきます。