旧ジャニーズ、旧統一教会…「袋叩きの不祥事組織」が報道に反論するのはアリか?Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

旧ジャニーズと旧統一教会は報道に「反論」してもいい

「見苦しい」「反省していない」「被害者のことを考えていない」「自分の主張を一方的に垂れ流したいだけで聞く価値がない」――。

 今、日本中から批判されている二つの組織が、相次いでメディアの報道に対して「反論」をしたことでボロカスに叩かれている。「旧ジャニーズ事務所」ことSMILE-UP.(スマイルアップ)と、「旧統一教会」こと世界平和統一家庭連合(以下、家庭連合)だ。

 スマイルアップに関しては、ホームページにネット記事や週刊誌報道への反論などを10月5日から立て続けにアップしたことが、「メディアを高圧的に支配していた時代と何も変わらない」「必死すぎてダサすぎる」という感じで、メディアからネット民まで厳しく批判をされている。

 家庭連合に関しても同様で、かねて週刊誌やネット記事などに反論をしていたが、10月4日には関連団体の「UPF-JAPAN」がジャーナリスト・鈴木エイト氏を名誉毀損で訴えた。

 鈴木氏は、UPFが開催した国際会議でビデオメッセージを寄せた安倍元首相に、UPF側から「5000万円」の謝礼が支払われていた、とX(旧ツイッター)などで繰り返し主張をしている。鈴木氏の「調査報道」が事実なら、安倍元首相の政治家としての評価が大きく失墜するだけではなく、自民党もアウトだ。なぜかというと、安倍元首相の収支報告書にはそのような金額の記載はないので、“確信犯的”に政治資金規正法違反などの違法行為に手を染めていた事になるからだ。

 しかし、UPFはこれを「事実無根」として猛反発した。この対応がまたメディアやネット民の怒りを買った。「鈴木エイトさんを黙らせるためのスラップ訴訟(嫌がらせ)だ、恥を知れ!」「この期におよんでまだ犯罪者の安倍をかばうのか!この反日カルトめ!」なんて感じでボロカスに叩かれているのだ。

 旧ジャニーズ事務所に関する報道や鈴木氏の調査報道が「事実」かどうかは筆者にはわからない。ただ、このような現象はかなり興味がある。

 話題の二つの組織が、奇しくも「報道への反論」でともに激しい批判を受けていることは、企業で危機管理を担当されている人たちが一度は直面するであろう問題と、かなり関係があるからだ。

 一言で言うと、「不祥事報道のどさくさに紛れて、適当なデマを流すメディアやジャーナリストをどうするんだ」という問題である。