危機管理の専門家も「泣き寝入り」をすすめるワケ

 意外に思うかもしれないが、「泣き寝入り」することが多い。「報道に反論」をしている旧ジャニーズ事務所や旧統一教会が“とんでもない非常識なことをする団体”とバッシングをされているのがその証左だ。

 では、なぜ「泣き寝入り」をすることが多いのか。

 すねに傷を持つ者はどんなひどいことを言われても、「おしん(NHKの朝ドラ)」のように歯を食いしばって耐えなくてはいけないという日本人的な美徳もあるが、危機管理の専門家がそうアドバイスをすることも大きい。

 理由は「報道に反論をすることでバッシングを長引かせる」「メディアやジャーナリストが言論封殺だとか騒いで逆に取材攻勢を強めてしまう」ということだ。つまり、デマに反論したところでほとんど聞いてもらえることはなく、事態を悪化させるだけというわけだ。

 もちろん、株価や取引先に悪影響を及ぼすような「デマ」ならば毅然とした姿勢で抗議をすべきだと主張する専門家もいるが、既に「不祥事企業」で日本中から叩かれているので実状的には株価も信用もへったくれもない。しかも毎日、記者から追いかけ回されてメンタルが壊れかかっている経営陣の腰が引ける。とにかく一日でも早くバッシングを終わらせてほしいと願うので、「メディア批判」という新たな燃料を投下することに二の足を踏んでしまうのだ。

 このような話を聞けば聞くほど、スマイルアップや家庭連合の「報道批判」は危機管理的に失敗だったと思うだろう。

 確かに、短期的には世論の反感を買ってボロカスに叩かれているので「失敗」だったと筆者も思う。しかし、「中長期的な視点」で見ると「成功」だと考えている。